Live concert at Paradise Rock Club, Boston, MA, 11/27/2007, $15だったかな

Prefuse 73 / (Live concert at Paradise Rock Club, Boston, MA, 11/27/2007, $15だったかな)

::--::year::--::club::abstract hip hop::

■ けっこう生っぽいライブでした

前回Paradiseに「!!!」を観に行ったときは早く行き過ぎて、トリが登場する11時半ごろまでに5時間近く待たされたので、今回はそうなるまいと、前座を観なくても良いぐらいの勢いで、10時ごろ会場に行きました。時間借りのZipcar借りたこともあり、前座も全部観るとそれだけZipcarのお金かかるので、10時に会場入りしたわけです。

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ところが! これが計算ミスで、10時過ぎに会場入りしたときは、すでにトリのPrefuse 73がちょうど始まったところでした(汗)。前座が二組(Blank BlueとThe School of the Seven Bells)あったので、トリはもうちょっと後に始まるかと思ったのですが…。

しかも、トリのPrefuse 73はわずか1時間で終わってしまうし、前座をすっ飛ばした我々には実に物足りないライブとなりました。まあ、クラブ系アーティストなので、1時間のセットというのも十分ありえるわけだし、前座をすっとばしたのはオレが悪いんだし、しょうがないですね。

ライブは、黒人のドラマーがサンプラーからのビートに合わせて生演奏をし、スコット・ヘレンと、もう一人助っ人(誰かは不明)の二人がサンプラーで音を重ねるというスタイル。さらに、写真でもうっすらと写っていますが、スコット・ヘレンはエレクトリック・ギターも抱えており、ときおりノイジーなギター演奏を重ねていました。ギターはあまり良く聞こえなかったので効果は今いちでしたが、生ドラムで演奏にライブっぽさを持たせる試みは成功していたと思います。全体的には、Prefuse 73のスタジオ作品がライブっぽいセッティングでそつなく再現されていました。

ただ、最近のPrefuse 73の作品を聞いていて、ソングライティングが弱いなと感じることが多いのですが、同じことはやはりこのライブでも感じました。アコースティックでフォーキーな要素を入れるならもうちょっと曲自体の魅力が欲しい。そうでなければ、もっとエレクトロニカ的にサウンド実験を徹底するか、どちらかを強化してほしいなと思いました。

さて、あまり下調べをしなかったのですが、見逃した前座のThe School of the Seven Bellsはサイケデリック・フォークっぽい女性ボーカルをフィーチャーしたユニットで、Prefuse 73のニューアルバムでもコラボレートしているようです。前座がPrefuse 73のライブを補完するような仕組みになっていたのかもしれないと思うと、見逃したのが悔やまれます。ということで今回は星勘定を付けるのはやめておくことにします。(12/14/2007)

プレフューズ73について

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Prefuse 73

プレフューズ73 (2000年ごろデビュー)
::club::abstract hip hop::

【概観】

プレフューズ73は、アメリカ人アブストラクト・ヒップホップ・プロデューサー、ギレルモ・スコット・ヘレンの変名。スコット・ヘレンは他にも、デラローサ&アソーラ、サヴァス&サヴァラスなどの変名プロジェクトでも活動していますが、これらの中ではプレフューズ73がおそらくもっとも知られていると思うし、本人もリミックスでPrefuse 73の名で仕事することが多いようなので、スコット・ヘレン関連のプロジェクトはいちおうこのプレフューズ73の元で扱うことにします。

アブストラクト・ヒップホップと言っても、(アブストラクト・ヒップホップ畑の一定数の人がそうであるように)スコット・ヘレンはストリートDJというよりも内省的サンプリング構築を中心に、デスクトップレコーディング系のプロデューサー/リミキサーであると言えるでしょう。

スコット・ヘレンの特にプレフューズ73名義でのサウンド構築のスタイルは、グリッチと呼ばれるカットアップ・サンプリングがなんといっても特徴的で、突っかかりのあるリズムの上に、レコード針の「ぶつっ」という音を含めて原型をとどめないほどカットアップされたサンプリングが積み重ねられるジャジーでアバンギャルドな音世界は、どこか浮遊感とリリカルさがあり、多くのクラブ系プロデューサーに影響を与えました。そういえばm-flo坂本龍一とやった「I Wanna Be Down」(Astromantic収録)はモロに(笑っちゃうほど)Prefuse 73のスタイルでした。

ジャズ好きらしいのですが、最近はけっこうフォーク色も強く、生演奏への興味が増えているように思います。ここのところデビュー当時のインパクトが薄れているのが気になりますが、またあっと驚く何かをやってくれるのではないかとまったり期待しています。

(12/14/2007)

Live concert at Mechanics Hall, Worcester, MA, 11/7/2007, $39 ★★★★

Pat Metheny Trio / (Live concert at Mechanics Hall, Worcester, MA, 11/7/2007, $39)

::★★★★::2007::--::jazz::

■ けっこうクロスオーバーなライブ

オレ的に微妙な位置付けのギタリスト、パット・メセニーですが、テクいギタリストをライブで観るのは好きだし、なによりも今回はソフト・フュージョンな「グループ」ではなく、よりジャズ寄りの「トリオ」のライブなので、喜んでチケットを取りました。

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当日はレンタカーを借りてえっちらおっちら郊外まで。ホールは初めて行ったところですが、クラシカルな雰囲気のホール。とはいえ、オペラハウスとも違うし、「2階席のある教会」みたいな感じ。

ライブは開演時間ほぼきっかりに始まり、このあたりのきっちりさがメセニーっぽい気がした。まずはメセニーのソロ演奏。アコギ演奏に続いて、メセニー特注の「ピカソ・ギター」(写真)を使った無国籍風な演奏。すごいことはすごいけど、メディテーション/ニューエイジ風でもあり、このあたりのセンスにはやはり付いて行けない。ステージセットにはメセニーのステージには良く置いてあるらしい観葉植物の木が置いてあったし。(余談だけど、メセニーの公式ウェブサイトにはメセニー本人によるお勧めの音楽、本、映画などのリストが日記みたいに公開されているんだけど、その中にリチャード・ドーキンスのベストセラー「The God Delusion」が入っていて、この本は宗教全般を厳しく批判している本なので、宗教入っているわけではなさそう)

しかしほどなく、クリスチャン・マクブライド(b)とアントニオ・サンチェス(dr)が登場して、オーソドックスなジャズに入ってほっとしました。あのソロ演奏が延々続いたらキツかった。

パット・メセニー・トリオのアルバムは今のところ2000年の「Trio Live」が最新ですが、当時のビル・スチュアート(dr)&ラリー・グレナディア(b)の繊細で、よりストレートにジャズな演奏に比べると、マクブライド&サンチェスのリズム隊はアクが強く、マッチョ。特にアントニオ・サンチェスのラテンテイストあふれるドラムはすごい!の一言。がんがん演奏を煽っていきます。押しが強過ぎて最後の方はちょっと飽きてしまいましたが。パワフルなドラムに合わせるかのようにクリスチャン・マクブライドのベースも遠慮なく存在感を発揮していましたが、巨体に似合わず大変メロウな演奏で感心してしまいました。

アンコールではロック編成っぽくやるなど、2000年の王道ジャズ的なトリオに比べるとずいぶんと押しが強く元気な演奏で、よりクロスオーバー的な演奏だったと言えるかもしれません。このトリオのアルバムは来年出るようですが、楽しみですね。(12/8/2007)

パット・メセニーについて

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Pat Metheny

::jazz::

【概観】

ボーダーの長袖シャツをこよなく愛するフュージョン・ギタリスト。発音は「メシーニー」の方が近いかも? おそらく間違いなく現役のジャズ系ギタリストのなかでもっともビッグネームであろうこのひと、オレ個人的には微妙な位置付けです。というのも、何度か当「音盤メモ」でも述べている通り、オレはフュージョンは割と苦手、特にニューエイジ風味が入るととたんに身体が拒絶してしまう体質なんですが、パット・メセニーの活動のうち、パット・メセニー・グループでの「ブラジリアン・スムース・ジャズ」はオレにはかなり厳しいです。一方、メセニーのソロ名義での活動やパット・メセニー・トリオなんかでの活動は好き。ハード・バップの伝統を感じさせるものから、フリージャズまで、好きなようにはじけているんで。

そう、メセニーはスムース・ジャズ/フュージョン・ギタリストのイメージが強いけれども、同時に前衛ジャズやフリー・ジャズを愛することでも知られていて、デレク・ベイリーと共演して不評を買ったりしています。そのあたりの空回りっぽい感じも好感持てます。やっぱり人間、当たって砕けなきゃ。

「御三家」の中では、「引き」と「ため」の王者、ジョン・スコフィールドや、前衛的ともいえるビル・フリゼールに対し、おしげもなくテクをひけらかす(というと言葉が悪いですが)王道フュージョン・ギタリスト、メセニー。もっとも「ギター小僧」にとって分かりやすい存在と言え、その分かりやすさがときに疎ましく感じられたりもしますが、でもオレは基本的にはテクい演奏者は好きなので、気になる存在ではあります。

(12/8/2007)

神シャッフル

ジョギングしていて、iPod nanoにジャンル無用、ランダム選曲で入れた曲をシャッフルして聴いていたら、神選曲が降臨! こういうことってたまにありますよね。もちろん偶然ですけど。

今回は、まずDVD「Warp Vision」に付いていたボーナス・ミックスCDの一曲がまずかかって、これはWarpのDVDに入っている曲のミックスなんだけど、この曲の最後にAntipop Consortiumの「Tron Man Speaks」からのサンプリングで、自称Tron Manを名乗る、狂った男の機械処理した不気味な台詞が出てくるのね。いわく、

You don't like it. You think it should be more R&B, right? Something more for the ladies. Unfortunately understood, you are just like the rest. You will pay.

「オマエハ コノ音楽ガ 気ニ入ラナカッタ。 オマエハ モットR&B風ナノガ ヨイノダロウ。 モット 女性受ケスルモノガ。 残念ナガラ オマエモ 他ノヤツラト 同類ダ。 カナラズヤ 報イヲ 受ケルダロウ」

この瞬間曲が終わり、ノンストップですかさずかかった曲がDoc Scottの「Dark Angel」! 巨大で真っ黒な翼を広げながら暗黒の天使が舞い降りて天誅を下すシーン(もちろんCG)が目の前に炸裂しました。

その時だけは思わずジョギングのスピードが上がりました。神シャッフル! (再現

ちなみに「Warp Vision」(いつかレビューアップロードします)の付属ミックスCDは大した内容ではないのですが、今回かかったこの部分はなかなか良いです。それもあって、「Dark Angel」との繋ぎに興奮したんだと思いますが。

以上、小ネタでした。

「続きを読む」導入

「続きを読む」ってクリックの手間があって面倒だから嫌いだったんですが、当サイトはいくらなんでも煩雑すぎるように気がするので、「続きを読む」を導入することにしました。ちょっとはすっきりするかな?