2010年度(日本編)

いかん。せめてアカデミー賞の前にはやっておきたかったこの(オレ的)恒例企画、今年はなんと3月に入ってしまいました。でもなんとかやるぞやるぞやるぞ!

2006年度から毎年やっております(US編は2007年度から)「iTS年間ベストセラー大人買い祭り」、iTunes Storeの年間チャート(曲単位)のトップ50を大人買いして片っ端から感想を書くコーナーです。日を改めてUS編もやる予定。

さて、日本版年間チャートの概観です。

どうも今年のチャートはぱっとしない。2010年度はオリコン年間シングルチャートが嵐とAKB48の2グループに独占されるという異常事態が発生し、「嵐とAKB48の破竹の勢い」を反映しているのか、あるいは「ヒット曲に乏しい現状」を反映しているのか、話題になりましたが、iTSチャートの方も、なんというか「おまえら他に買うもんないんかい!」とツッコミたくなる感じです。

それはともかく、概観など…。

躍進したAKB48関係が4曲入っていますが、嵐はiTSで売っていないので入っていません。他、目立った動きとしては、カエラが昨年2位の曲で1位を取るなど、ブレイクを強く印象づけている他、話題のK-Pop女性アイドルのKARAが14位、少女時代が29位、30位に入っています。しかし、新味はそれぐらい。

いっぽう、去年以前のチャートにランクインしていた曲の再ランクインが目立つんですよねえ。以下がそのリストです(左端の数字は今回の順位)。

  • 1. 木村カエラ / Butterfly(昨年2位)
  • 9. ヒルクライム / 春夏秋冬(昨年14位)
  • 16. Lady GaGa / Poker Face(昨年39位)
  • 23. HY / 366日(昨年4位)
  • 27. ザ・ブルーハーツ / 1001のバイオリン(2006年度27位)
  • 33. Superfly / 愛をこめて花束を(昨年27位、一昨年9位)
  • 35. MONGOL800 / 小さな恋のうた(昨年37位、一昨年24位)
  • 38. 一青 窈 / ハナミズキ(2006年度30位)
  • 41. 絢香 / みんな空の下(昨年10位)
  • 46. FUNKY MONKEY BABYS / 桜(昨年12位)
  • 47. GReeeeN / キセキ(昨年6位,一昨年2位)

こんだけ旧曲が入っていて、新機軸がAKBとK-Popだけって、寂しいよなあ。ほんまに、「おまえら他に買うもんないんかい!」という感じです。

入っている曲もパターン化していて、アイドルじゃなかったらFUNKEY MONKEY BABYSかヒルクライムかSuperflyかExileか、あとは癒し系の女声ポップR&Bっぽい曲か…全般的に草食系の優しい曲ばかりだし、FMBとExileが金太郎飴のように毎年同じ芸風なので、聴いていて腹も立たないけどお腹いっぱいにもならないという、薄味のチャートでありました。iTSチャートの常連の宇多田ヒカルが今回入っていないのもチャートの小粒化・薄味化に拍車をかけております。

この点、エグいまでに商業路線をぶっとばすiTS USのチャートとは好対照です。向こうのチャートのプライドもかなぐり捨てたような商業主義もどうかと思うけど、あのギラギラした感じがもうちょっと日本のチャートにもあればいいのに…と思いました。

ちなみに、複数入賞は、FUNKEY MONKEY BABYSが5曲(6, 13, 17, 18, 46位)、AKB関連が4曲(3, 5, 40, 49位)、以下3曲入賞がSuperfly(2, 15, 33位)、ヒルクライム(9, 26, 36位)、EXILE(10, 28, 44位)、Lady Gaga(11, 16, 31位)となっています。

洋楽組は、ブレイクしたLady Gagaの他、Keshaが19位、Katy Perryが10位と、4曲のランクインです。まあ、順当な感じです。

本年度のワーストはダントツで「We Are The World 25 For Haiti」です。

というわけで、以下、感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。あくまで【な】本人の「お気に入り度」ですので、もし貴方と意見が違ったら「こいつ分かってねえな」と笑ってください。

ではでは、本年度分。

1. 木村カエラ / Butterfly (2009) ★★★★★

今年は去年2位だったカエラの「Butterfly」が本年度の1位。強い! カエラ・ブレイクの強さを見せつけました。結婚・出産と、芸能ニュースにもなったのが後押ししたか。

2. Superfly / タマシイレボリューション (2010) ★★★

今年は引き続きSuperflyが堅調。アン・ルイス大黒摩季というラインの歌謡ロックの正統な後継者で、活躍は好ましく思っていますが、いまいち曲が響かないというか…。もっとアクが欲しい!

3. AKB48 / ポニーテールとシュシュ (2010) ★★★

AKB48がモー娘。と違うのは、圧倒的にAKB48の方がおニャン子臭がするということですね。当たり前と言えば当たり前だけど。サウンドも80年代歌謡曲と大差ないのがスゴいというか、「アイドル売るのに新しいサウンドなんかいらん!」という秋元康の強い信念が伺えるようです。

4. 斉藤和義 / ずっと好きだった (2010) ★★★

ぼくの知り合い圏内にも斉藤和義信者がいるんですが、良さがいまいち良く分からない…。この曲も悪くないと思うんだけど、昔ながらのジャパニーズロックなブギーロックにどう反応したらいいのか、距離を取りかねている自分がいます。アルバム聴かないと良く分からんのかもなあ…。

5. AKB48 / ヘビーローテーション (2010) ★★★

頭から超キャッチーな、超ど級のサビを押し出してくる、英語で言うところのunapologeticなアイドル歌謡に頭がくらくらしつつ、けっこう良いメロだなと思ったりもします。サビ以外が今いち印象に残らないけど。

6. FUNKY MONKEY BABYS / 涙 (2010) ★★★

いつものFMBです。ストリングスもたっぷり。励ましもいっぱい。

7. 坂本冬美 / また君に恋してる (2009) ★★★★

一部の好事家からキング・クリムゾンの「Moon Child」のリメイクと言われている曲(リメイクとは誰も言ってないか)。ビリー・バンバンの最近の曲のカバーだそうです。坂本冬美ならではの演歌ポップスに仕上がっていて、クリムゾン風味も加味されて素晴らしい仕上がりとなっています。サウンド、アレンジ、歌すべてが高度にプロフェッショナルで聴いていて気持ちが良い。ある意味、今年度チャートのオレ的ナンバーワン。

8. 木村カエラ / Ring a Ding Dong (2010) ★★★★

携帯CMの曲。ま、正直大した曲じゃないと思うけど、ファンなので甘めに。

9. ヒルクライム / 春夏秋冬 (2009) ★★★

昨年14位。サビはいいけど、それ以外がどうも…なんでこんなヌメっとした声なん?

10. EXILE / もっと強く (2010) ★★★

いつもの安定したEXILE節です。以前から書いてますが、嫌いじゃないんですよね。この曲はサビ前のブリッジのメロディが良いんだけど、偶然にも42位のBUMP OF CHICKEN / 魔法の料理のサビに似ている。

11. Lady Gaga / Telephone (Feat. Beyonc) (2010) ★★★★★

素晴らしい曲です。詳しくはiTS大人買い祭り USバージョンを参照ください。

12. moumoon / Sunshine Girl (2010) ★★★★

なんだこの曲は?! レゲエっぽいリズムのどポップな曲調にバイリンガルっぽい爽やかでキュートなボーカルが乗ります。CMからヒットした曲のようですが、近年のJ-Popのヒット曲の系統とは離れていて、こういう曲がチャートに入るならCMソングも良いもんだなと思います。佳曲。

13. FUNKY MONKEY BABYS / あとひとつ (2010) ★★★

6位の「涙」と17位の「大切」と46位の「桜」とこの曲でブラインド・テイスティングしたら正解する自信がまったくない。てか、ストリングス使い過ぎじゃね?

14. KARA / ミスター (2010) ★★★★

K-Pop女性アイドル対決はKARAが制しました。歌謡曲っぽいエグみがあって良い曲です。日本語も少女時代よりこなれている気がする。新曲の「Jumpin'」はさらに良い曲なので2011年度にチャートインしていたらいいな。

15. Superfly / Wildflower (2010) ★★★★

今回のSuperflyの曲ではこれが一番好き。高揚するサビのメロディが素晴らしい。

16. Lady GaGa / Poker Face (2008) ★★★★

昨年39位。ガガの出世曲であります。

17. FUNKY MONKEY BABYS / 大切 (2010) ★★

今回のFMBの曲でもっともメロディが平坦。加えて、「たいーせつーー、たいせつーーー」という連呼が耐えられない。うっさいわ!

18. FUNKY MONKEY BABYS / ヒーロー (2009) ★★★

2009年の紅白で歌った曲。お父さん応援歌。今回では唯一アップテンポで、これまでドラマチックなのばっかりだったのでほっとする。ストリングスは相変わらずバリバリだけど。

19. Kesha / Tik Tok (Original Version) (2009) ★★★★★

アメリカでもKeshaのブレイク元年となりました。実はけっこう好きなんだよねえ、この曲。ゴミみたいな曲、だがそこがいい! 詳しくはUS編参照。

20. Katy Perry / California Gurls Feat. Snoop Dogg (2010) ★★★★★

こんなの好きだなんておまえは馬鹿か!と罵倒されそうですが、この曲も好きなんですよねえ。「Tik Tok」よりさらにゴミみたいな曲。だがそこがいい! 同じく、後日アップロード予定のUS編参照。

21. Honey L Days / まなざし (2010) ★★★

ストリングスいっぱいのミッド・テンポのバラード。ファンキーモンキーベイビーズが作ったと言われたら即信じます。

22. ナオト・インティライミ / タカラモノ〜この声がなくなるまで〜 (2010) ★★★

いやほんと、ストリングス使った曲多いなあ。この曲はアップテンポだけど。サビのファルセットの感じが良いですね。薄い平井堅? 中間にある嘘ラップが恥ずかしい。

23. HY / 366日 (2008) ★★★

昨年度4位の曲。紅白出場も果たしました。なぜ白組だったかは良く分かりませんが。

24. Dreams Come True / ねぇ (2010) ★★★

なぜか二年連続で紅白のトリを勤めたドリカムのバラードっぽい曲。ふつう。

25. Various Artists / Artists For Haiti - We Are The World 25 For Haiti (2010) ★

ハイチ地震のために録音された「We Are The World」の新バージョン。オリジナルの方もはっきりいって大した曲じゃないけれども、新バージョンはヒドい。安っぽいイントロからして腰砕けですが、オリジナルと比べるとカリスマ性の欠けるイマドキのヒットシンガーの連発には聴いている方の気分がブルーに。大体、主導権握っているのがファーギーとプッシーキャット・ドールズのニコールだなんて、ありえねえよ! ワイクリフ・ジョンのボーカルはほとんどギャグだし。

Wikipedia USには、"'We Are The World 25 for Haiti' received extremely negative reviews from contemporary music critics."とある(リンク)。そりゃそうだよな。この曲買うなら普通に募金したほうがはるかにマシ。

26. ヒルクライム / ルーズリーフ (2010) ★★

曲は普通だと思いますが、「自由に書いていいぜ/自由に破いていいぜ/何度でもやり直せるこのノート/ルーズリーフに記された/君が主人公のその物語」というサビの歌詞がもう無理。心の穢れたオッサンには耐えられない。これを聴いてじーんと出来るのは、10代の特権だな。オレは10代のときに聴いても絶対無理だけど。10代のころから穢れていたんだな、きっと。

27. ザ・ブルーハーツ / 1001のバイオリン (1993) ★★

2006年度27位のこの曲が返り咲き。なんで?! ブルーハーツならもっと他に良い曲があるだろうが!

28. EXILE / VICTORY (2010) ★★★★

サッカーの応援歌ですか? いいんじゃないですかね。EXILEも一曲ぐらい★★★★つけておこう。

29. 少女時代 / GENIE (2010) ★★★★

少女時代けっこう好きです。某とよちゅんは少女時代が洋楽っぽいのが弱いと述べていますが、ぼくはJ-Popに思い入れがないので、洋楽っぽくても全然OK。この曲は少女時代の代表曲になるであろう、トランス風味のポップス。ビデオが最高。ただ、日本語バージョンはちょっと固いかなあ…。韓国語バージョンなら★★★★★。

30. 少女時代 / Gee (2010) ★★★★

こちらはもうちょっとアイドル歌謡っぽいが、それでもやはり90年代R&Bのテイスト、2000年代エレクトロの雰囲気もあって、「泥臭さのKARA」「洗練の少女時代」という対比が感じられます。

31. Lady Gaga / Bad Romance (2009) ★★★★★

レディー・ガガの、今のところの最高傑作。スタジアム・アンセムになることが確定している名曲です。「I want your loving, I want your revenge / You and me could write a bad romance」…シンプルで力強いサビの歌詞も素晴らしい。オレが聴きたいのはこういう大人の歌詞なんだyo! 大切とか、ルーズリーフとか、そんなんじゃなくて!

32. 菅原紗由理 / 素直になれなくて (2010) ★★★

そのままEXILEが歌ってもおかしくない、ミッドテンポ哀愁バラード。聴き終わった瞬間に忘れてしまう曲。

33. Superfly / 愛をこめて花束を (2008) ★★★★

昨年27位、一昨年9位とロングセラーの代表曲。やっぱりなんだかんだ言っても良い曲です。ロングセラーも納得。

34. かりゆし58 / オワリはじまり (2010) ★★★

昨年も別の曲をランクインさせていたブルーハーツ・フォロワー。ブルーハーツよりずいぶんと洗練されているけど。悪くないんじゃないでしょうか。

35. MONGOL800 / 小さな恋のうた (2001) ★★★

昨年37位、一昨年24位。なんでこのインディー曲がロングセラー?! 嫌いではないけど、不思議であります。ちなみにMONGOL800かりゆし58も沖縄のバンドだそうで、沖縄パワーなのか?

36. ヒルクライム / 大丈夫 (2010) ★★

おまえらに大丈夫って言われたくないわ! と大人げなく反応してしまう自分が哀しい。しかしそんなに他人に大丈夫って言ってほしいのだろうか、最近のガキどもは。

37. 北乃きい / サクラサク (2010) ★★

もうやめようよ…素人の歌手デビューは。新垣結衣ほどはヒドくないけれども、逆に言えば、ガッキーのような破壊力に欠けるため、なんともコメントしがたいとも言えます。

38. 一青 窈 / ハナミズキ (2004) ★★★★

これは同名映画の公開にともなうリバイバルヒットですね。iTS年間チャートでも2006年度に30位にランクインしていました。もっとも、あちらはライブ版でしたが。良い曲だと思います。

39. サカナクション / アルクアラウンド (2010) ★★★

一癖も二癖もあるグループのようですが…この曲は変化球すぎて、これ1曲では良さがわからへん(´・ω・`)。

40. AKB48 / Beginner (2010) ★★★

今回の曲ではもっとも歌謡R&B寄りの曲で、その意味、意欲的…なのか? 「Stand up! Together!」という歌詞が間抜けだけどそれ以外はけっこうカッコイイ…のか?

41. 絢香 / みんな空の下 (2009) ★★★

昨年度10位でした。

42. BUMP OF CHICKEN / 魔法の料理 〜君から君へ〜 (2010) ★★★★

良い曲です。Bump of Chickenは良く知らなくて、もちろん一部で人気があるのは知っているし、以前も2007年度iTS年間チャートに「天体観測」が入っていたので聴いたのですがあまり印象に残りませんでした。しかしこの曲は良い! 繊細なサビのメロディが素晴らしいです。こういうちゃんとした曲をもっと聴きたい。

43. 放課後ティータイム / GO! GO! MANIAC (2010) ★★★

けいおん!」の曲です。アニメは見たことありません。テレビ持ってないし。この曲は、うーん…アニソン独特のハイパーな感じに馴染めません、すみません。

でもこれ↓は最高。

44. Exile / ふたつの唇 (2009) ★★★

Exileの常套の不倫ソング…かな。「Ti Amo」系。悪くないけど、ま、いつもとおんなじEXILE節です。

45. lecca / TSUBOMI feat.九州男 (2010) ★★★

レゲエシンガー…だそうですが、レゲエ色はほぼ皆無で、最近流行のせつない系ポップR&Bですね。ほんのり和風。

46. FUNKY MONKEY BABYS / 桜 (2009) ★★★

昨年度12位。

47. GReeeeN / キセキ (2008) ★★★

昨年度6位、一昨年度6位。

48. 阿部真央 / いつの日も (2010) ★★★

新垣結衣の「heavenly days」っぽい曲。あまり印象に残りません。

49. AKBアイドリング!!! / 会いたかった (アイドリング!!! バージョン) (2009) ★★★

この曲を初めて聴いたのが「あらびき団」でしたから、その印象が強すぎてなんともかんとも…。

50. 倖田來未 / Lollipop (2010) ★★★★

AKB48の後に聴くと、あまりのマトモさに安心してしまいます。今回の入賞曲の中で唯一アメリカの今どきのR&Bを取り入れた曲ですね。ブリトニーっぽくもありますね。

以上。