Live concert at Koo'on, Osaka, 4/10/2010, 4000円 ★★★★★

空気公団 / (Live concert at Koo'on, Osaka, 4/10/2010, 4000円 )

::★★★★★::2010::--::pop::rock::jp::

■ ガラス細工のような美しさと緊迫感

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本人たちが「ライブはほとんどやらない」と宣言している*1空気公団のライブ情報をキャッチして行ってきました。結論から言うと、素晴らしかった。

大阪市内は阿波座にあるKoo'onというライブスペースに、スーパー同居人ちゃんとともに到着したのは開場の15分ほどまえ。いつもかなりテキトーな時間に会場入りする我々ですが、今回、開場時間より早く来たのは、整理番号順の入場だったから。ぼくは発売(先行販売?)当日に買ったので、整理番号が一桁だったんですよ。せっかく一桁なんだから、ぜひ開場に間に合うように行きたいと思いました。

Koo'on(空音)という、空気公団にあつらえたかのような名前のライブハウスは、ライブハウスというよりはアートスペースという感じの場所で、ホールは地下にあるんですが、残念ながらホールでは飲食不可。せっかく入り口脇でアルコール販売しているんだから、店内で買ったアルコールぐらいは持ち込めるようにしてほしいな。

…という文句はともかく、陣取った席は2列目の真ん中。嬉しい。

ステージには、左端のキーボード席を含め、椅子が五脚横に並んでいます。空気公団は現在3人編成ですから、2人のサポートメンバーがいることが伺いしれます。ドラムセットはありません。スーパー同居人ちゃんと、ボーカルの山崎ゆかりは真ん中の二席のどちらの席だろうと予想を話し合っているうちにメンバー登場。

我々の予想に反して、山崎ゆかりはなんと、ステージの右端。左端がキーボードの窪田渡、次がアコーディオンの良原リエ(サポート)、次がベースの戸川由幸、次がギターの奥田健介(サポート)、そして右端が山崎ゆかり。失礼ながら、思っていたよりずっと美人な方でした。

「旅をしませんか」で静かに幕を開けたコンサートは、その後もMCもほとんどなく、淡々と進みます。ステージ進行を引っ張っているのはどうやらキーボードの窪田渡。いっぽう、空気公団の曲をほぼすべて作詞作曲し、歌い、かつ「代表」の肩書きを持つ山崎ゆかりは、緊張しているのか、硬い表情を崩さず、言葉もほとんど発せず、常に伏し目がちに、右手にハンドマイクを持ち、曲が始まると、伏し目がちなまま、淡々と歌います。座っているのでアクションもなく、ただ手持ち無沙汰な左手だけが、何かをさぐるように小さくもがいています。

そんな山崎のボーカルでしたが、素晴らしかった。ドラムレスの静かな演奏だったので、山崎の歌は、まるでヘッドホンでレコードを聴くときのように近く聴こえました。特に何かプラスアルファがあるわけではなく、CDで聴く通りといえば聴く通りなのですが、生演奏独特の緊迫感が山崎のハスキーで朴訥なボーカルの美しさを際立たせていたように思います。実際、ぼくは聴いていて手に汗握っておりました。そして胸にぐっとくる瞬間が何度も何度も訪れました。

30分続けて演奏したあと、10分ほどの休憩を挟んで、次は45分ほどの演奏。この「第二部」では、バンドの雰囲気もだいぶほぐれ、MCもたくさんありました。山崎ゆかりのしゃべるのもちゃんときけた。MCはやはり窪田が先導し、山崎は挙動不審な部分を突っ込まれるという感じで、このライブだけ見ると、山崎ゆかりが空気公団の核だということを忘れてしまいそうになります。でも、やっぱり常人ではないんだろうな、山崎ゆかり。

驚いたのは、最後の2曲で山崎が歌詞を間違えたところ。歌詞を間違えるのは、ライブで一般に良くあることだと思うんですが、山崎ゆかりの場合、間違えた瞬間、なんと「ああっ!」と叫んで歌うのを思わず中断してしまった。しかしバンドは止まらず、山崎を諭すように次のフレーズをコーラスでフォローしつつ、その曲は進行しました。その次のラスト曲(「田中さん、愛善通りを行く」)でふたたび山崎が歌詞(構成?)を間違え、今回はバンド演奏も止まり、最初からやり直しました。

その後のMCから察するに、山崎はよく歌詞を忘れるそうで、しかも間違えたのを流すことができずについ「あっ!」と叫んだりしてしまうようです。なるほど、アルバム「融」に「あれ?」という声が入っているのは、その延長線上なのか。

しかしそういうアンプロフェッショナルなところが許されるどころか持ち味にもなってしまうのが空気公団ですね。素晴らしいです。はい。何でも受け入れてしまいます。

アンコールでは、大好きな「メロディ」を、別アレンジながらやってくれてほんと感激しました。予習不足で、認識できない曲もいくつもありましたが、次にライブに行くときは全曲認識できるようにしておきます。

とにかく、久々に感動した、その後何日もこころに余韻が響くライブでした。

(4/13/2010)

*1:とはいえ、ここんところ一年に一度ぐらいやっているようですが。