Riptide ★★★★
Robert Palmer / Riptide
::★★★★::1986::Island::rock::pop::
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■ 80年代MTVヒットを代表する一作
デュラン・デュランのメンバーと組んだパワー・ステーションの成功を受けて録音され,大ヒットしたアルバム。
ロバート・パーマーは決して商才豊かな人ではなく,むしろ器用貧乏なタイプだと思うのですが,「Riptide」は完璧なタイミングと完璧な内容と完璧なプロモーションに支えられた,成功すべくして成功したアルバムです。
内容は基本的にパワー・ステーション。パワー・ステーションのトレードマークだったパワフルでラウドなビートはここで継承されています。ドラマーとプロデューサーがパワー・ステーションと同じなんだから当然です。
じゃ違いは? うーん,一言で言うのは難しいですが,「Riptide」の方がオトナでスムースでセクシーという点でしょうか。パワー・ステーションにあったニュー・ウェーブ色だけでなく,ブラック・コンテンポラリー色を排し,ホーンセクションも使わず,よりシンプルにアプローチしたのがこのアルバムのクレバーなところです。しかもギターをさらに強調し,ロック色を強めているのに,同時によりオトナな雰囲気も漂わせているところが見事。キャリアの長さはダテじゃない。
このアルバムの唯一の欠点は短すぎること。わずか9曲35分あまりで,1曲目と9曲目が序曲とエピローグ的というのはあまりに短いです。たぶんパワー・ステーションの成功の余韻を逃さないようにと急いで発売されたからだと思うのですが,捨て曲がないだけにこの短さはもったいないです。
この曲を聴け!
- ベストトラックは文句なしでシェレールのカバーtr6「I Didn't Mean To Turn You On」。(※ultravisitorでこの曲について拙文を書きましたのでよろしければそちらもご覧ください。)