In Color ★★★★

In Color

Cheap Trick / In Color

::★★★★::1977::Epic::pop::rock::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

■ ポップ路線にシフトさせられたセカンド

デビュー作はバンド独自のデモ録音に手を加えたという風情でしたが、本作からはトム・ワーマンがプロデューサーに付き、レコード会社の思惑に従ったサウンド・プロダクションがなされます。これには賛否両論で、チープ・トリックのメンバーも、トム・ワーマンのサウンド・プロダクションには不満を持っていたようです。しかし、まあ、それがレコード業界というものなのでしょう。しかも、それで成功したんだから文句も言えません。

ただ、トム・ワーマンのサウンド・プロダクションが最高だったかは、議論の余地が残されているところです。たとえば、後にライブ・バージョンが大ヒットを記録する「I Want You To Want Me」(邦題「甘い罠」)は、このオリジナル・スタジオ・バージョンでは、ボードビル調の?ピアノが加えられ、ロック色を抑えた仕上がりになっており、曲調からすると妥当なアレンジだったとは思いますが、あきらかにライブ・バージョンの、もうちょっとハードなバージョンの方が魅力があります。

でもまあ、オープニング曲として最高の「Hello There」に始まり、ヘヴィーな「Big Eyes」、軽い「I Want You To Want Me」、鐘の音に乗ったゴキゲンなロケンロール「Clock Strikes Ten」、おそらくもっともチープ・トリックらしい曲だと言える「Come On, Come On」(ビートルズへのオマージュか?)、そしてマイナー目だけどチープ・トリックの曲で最も良くできたポップソングであるラストの「So Good To See You」まで、曲も粒ぞろいで、曲のクォリティーだけでいえば、チープ・トリック史上最高。ジャケもオモロカッコイイし、好きです。ジャケのイメージだけで付けられた「蒼ざめたハイウェイ」という邦題もいいね。嗚呼、サウンドにもうちょっとエッジがあれば…。(3/15/2007)