Another Level ★★★★

Another Level

Blackstreet / Another Level

::★★★★::2004::Elektra::pop::rock::club::lounge::
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ニュージャックスウィングの立役者の一人として一世を風靡した敏腕プロデューサー、テディ・ライリーの、「Guy」に続く二つ目のボーカルグループである「Blackstreet」の二作目。って説明長い? これぐらい書かないと「テディ・ライリーって誰?」とか普通に言われそうな今日この頃なんで…。

ブラックストリートのデビュー作はポップな面をうちだして、とてもよくできたアルバムだったんですが、時期的に、テディーがつくりだしたニュージャックスウィングが衰退し、ヒップホップ・ソウルが急激に伸びてくる時期だったせいか、テディが「時代に方向転換をせまられた」という印象もあったんですよね。

しかし、今作は意識的に「ヴォーカル・グループ」という側面を強化したみたいです。そして、ヒップホップソウルが最終段階をむかえているようなこの時期に、みごと、他のグループにはない独自の路線をうちだしています。具体的に言えば、「オールドスクール的メロウさ」をうちだしたというところでしょうか。大ヒットしたtr3「No Diggity」はヒップホップソウルっぽかったのですが、このアルバムの目玉は、tr5「Good Lovin'」〜tr7「Don't Leave」〜tr8「Never Gonna Let You Go」〜tr9「I Wanna Be Your Man」(ビートルズと関係なし)〜tr13「(Money Can't) Buy Me Love」(ビートルズのカバー)へと続く大バラード攻勢でしょう。ハズレ曲なく、テディ・ライリーの確かなポップセンスを痛感します。特に、ロジャーの「I Want To Be Your Man」(ビートルズともブラックストリートとも関係なし)風のスウィートソウルに仕立て上がっているビートルズの「(Money Can't) Buy Me Love」が出色。

この「(Money Can't) Buy Me Love」の後に続く曲が若干平凡なのが難点ですが、まあここまででもアルバムの2/3ぐらいだから大したものです。(1/14/07)