Live! ★★★★

Live

Marvin Gaye / Live!

::★★★★::1974::Motown::soul::r&b::
iTMS US / iTMS J

「Distant Lover」のヒットを生んだライヴ盤。マーヴィンはライヴでどうのというシンガーでないし、この盤はライヴ盤としての音質もそれほどよくはないんだけど、なかなかに楽しめます。特に前半が好き。スピーディーにアレンジされた「Inner City Blues」とか、スタジオ盤にはない持ち味で良いです。

でもこのアルバムを特別なものにしているのはすさまじいまでの黄色い歓声。そのハイライトはなんといっても、前述したバラード「Distant Lover」。イントロ部の段階ではまだ何の曲か明らかでなく、マーヴィンの語りがはいるのですが、そこでやおら演奏のブレイク。そして、「Distant lover...」と最初の一節を歌い出すに至って観客はまさに狂乱。「ぎゃ〜〜〜〜っ!!」だもんね。「マーヴィン!マーヴィ〜〜ンッ!!!」だもんね。半数のファンは失禁しているのでは。ぼくもちびりそうです。サックスソロのあとの「Baby, don't go... please come back baby!」という一節も鳥肌もの。客もひとりひとり、「遠い恋人」に自己同一化して大絶叫。まあ、ここでのマーヴィンは、杉良太郎がファンに流し目を送るような、きわめて芸能的な世界なんですが、これがたまらんのですわ。ライブ録音なのにシングルとしてヒットしたのもわかります。

でも、そんだけもりあげといて、次に「ぼくの新しい恋人にささげます。♪ジャニス(実名)はぼくの恋人〜」と歌い出して会場をしずまりかえらせるのだから、マーヴィンたらなんて無邪気。 (4/9/02)