Lumpy Gravy ★★★★

Lumpy Gravy

Frank Zappa / Lumpy Gravy

::★★★★::1968b::Verve::pop::rock::
iTMS US

(zappa catalog #4: このアルバムは1967年暮れに発売されたという説(つまり、このアルバムがサード・アルバムだという説)があるのですが、いちおうこちらに従って68年発表ということにします。)

このアルバムはザッパの初の「ソロ名義」のアルバム。マザーズのメンバーも多数参加してますが、ソロ名義ということで、オーケストラを中心とする外部ミュージシャンが大量に参加、そして、内容はコラージュと、ザッパの作品でももっとも実験的なアルバムとなっています。ちなみにソロ名義とマザーズというバンド名義の区別は、70年代以降なくなります。

で、このアルバムなのですが、前述したように、マザーズの演奏を素材にしつつも、室内楽団の演奏、レコードからの引用、「ピアノの中に住む人々」の意味不明の会話、テープ・ノイズなどなど、様々な音をカットアップ、編集した完全なコラージュ作品となっています。長らく「よくわかんねーな」というアルバムだったのですが、最近はけっこう好きです。というのは、コラージュされている断片断片がけっこう良い楽曲だからです。ですから、変に意味とかを考えるより(というより、どうせ意味なんてないんですから)、チープで憎めないオープニングとエンディングテーマに挟まれた小楽曲の連続だと考えて聴くと良いと思います。

ザッパの現代音楽指向が、ファーストアルバムのような未完成な形でなく、かなりまとまった形で出たという意味でも重要な作品。コラージュにまどわされてしまいそうですが、室内楽団による断片的曲の数々は、きちんとスコアを書いた楽曲のはずですし。

ちなみに、本作品のコンセプトが拡大されて、死後になりますが、「Civilization Phase III」という作品につながっています。 (9/14/02)