Magnet ★★★

Magnet

大阪パフォーマンスドール / Magnet

::★★★::1996::Epic::pop::jp::
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TPDの威光でデビューシングルがオリコンチャートした以外、一度もチャートに返り咲いてなかったOPD。ここで、メイン・メンバーだった稲葉貴子と古谷文乃を、2軍メンバーだった中村亜紀と重元直美に交代させて新体制で3枚目に望みます。それまで、OPDといえば稲葉と古谷がボーカル面での二本柱だったわけですが、この交代で、それまで三番手だった上田美穂と新メンバーの中村が新しい二本柱となります。この体制はそれなりに良かったと思います。ワイルドな中村と、フェミニンでどこかツンとした上田というのは、個性としてはなかなかのものでした。中村はアイドルの殻におさまらないパンチがあったし、上田のボーカルの成長も著しいものでした。で、このアルバムは井上ヨシマサ、かの香織近田春夫窪田晴男(元パール兄弟)、富樫明生(=mcAT)、渋谷'n 盆帆(メンズ5)、ジェームズ下地といった、バラエティーに富んで、かつクセのある作曲陣を迎えて製作されました。結果、中村によるパンチのあるファンク・ロック「アフロ・ゴーゴー」(井上ヨシマサ)や、上田による耽美的でドラムンベース的な「Heavenly Peace」(かの香織)といった非常に個性的な曲が生まれました。この2曲はアルバムのオープニングを飾る曲で、幸先の良いスタートだったと言えましょう。しかし、後が続かなかった。続くノベルティーっぽい「ダーリン」(近田春夫)、ハウスっぽい「このままでいいから」(窪田晴男)、ポップな「ガールフレンド」(渋谷'n 盆帆)、元気の良い「GO^3」(富樫明生)など、悪くはないけど、もうひとつ決め手に欠ける曲が続く(「ガールフレンド」は個人的にはかなり好きなんですが)あたりはまだ良いのですが、武内のリードの2曲の出来の悪さが思いっきり全体の足をひっぱってしまってます。シングルとなったバラード「泣きたいッ」も、中村の熱唱がなかなかに感動的なんですが、曲としては今いち。というわけで、個性はなかったけど曲のツブがそろっていた前作と違い、個性はあるけど曲のツブがそろわないアルバムになってしまいました。また、このアルバムから(正確にはこのアルバムの前のシングル「素敵になりたい」(アルバム未収録)から)、歌詞を女性をターゲットにするという大きな方向転換をした(グループ名も「大阪パフォーマンスドール」から正式に「OPD」に変更)のですが、これもまあ、結果的には裏目に出て、従来のアイドルファンとしての男性ファンが離れ、新しい女性ファンも獲得できないということになったわけです。そんなに甘い世界ではないわけで。

結局これが3枚目にしてラストアルバムとなりましたが、でもまあ、冷静に考えれば、このあたりがOPDの限界だったと言えるんでしょうね。最後までブレイクスルーがなかったグループでしたが、それなりによくやったと思います。と、ファンまるだしのコメントで締めさせていただきたいと思います。 (12/9/02)