ダミアン・ライスについて

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Damien Rice

ダミアン・ライス (1973年12月7日生、2002年アルバムデビュー)
::pop::rock::folk::

【概観】

アイルランドのシンガーソングライター。Juniperというアイルランドのバンドでメジャーからシングルを出すが、契約問題でアルバムが頓挫し、バンドを脱退、ヨーロッパを放浪。その後ダブリンに戻って録音した「Blower's Daughter」をヒットさせる。当該曲は映画「クローサー」のエンディングのシーンで使われた。

(1/21/2008)

愛は元気です ★★★★

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愛は元気です

谷村有美 / 愛は元気です

::★★★★::1991::Sony::pop::rock::jp::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

■ 「軽音楽」の王道?

谷村有美と言えば、「軽音楽」という言葉を思い出します。お嬢様っぽいイメージ、少しピッチのずれた透明感のある声、コンサバな曲と歌詞。「軽音楽」の王道ですね。といっても「軽音楽」には詳しくないので間違っているかもしれませんが。

で、谷村有美の5枚目。代表作の一つですね。中古で叩き売りしているのを買って聴いてみて、谷村をちゃんと聴くのはこれが初めてなんですが、けっこうクォリティー高くてびっくり。この頃はあまり作曲してなくて(タイトル曲は谷村の曲ですが)、西脇辰弥という人が多くの曲を作っています。全体的にはもうこれでもかというぐらい、ブラコン色(ブラック・コンテンポラリー。ブラザー・コンプレックスにあらず)、フュージョン色が強い。1991年のアルバムですが、80年代の音ですね。おまえはアース・ウィンド&ファイアーか!という感じの、シンコペーションばりばりのリズム、派手でスタイリッシュなホーン、テンションコードを多用したコード進行の嵐です。個人的にこういう時代遅れなフュージョン・ファンクは嫌いじゃないです。で、そんな音楽性なのに曲自体はめちゃポップなのがすごいというか、「アース・ウインド&ファイアーをバックに歌のうまい薬師丸ひろ子が歌う」という世界が破綻していないのがすごいです。

感心しました。てゆうか、ソニーさん、いい加減iTunes Storeに参加してくださいよ。


この曲を聴け!

  • 80年代フュージョン系ブラコン色が強いのは、まずtr2「走れ!パンプス」。すごいです。決め決めです。しかしそれよりさらに強烈なのがtr5「OH MY GOD!」。ザ・システムのようなエレクトロ・フュージョンで、90年代にこの音が出て来るなんて、さすがJ-Popは奥が深い。アメリカで90年代でこの音はありえない。当時はハウスやヒップホップが世界のオーバーグラウンドシーンを席巻していた時代ですが、そんな時代の流れは一切無視しているのが素晴らしい。さすが日本の軽音楽!
  • 谷村作曲のタイトルも良いですね。

(1/18/2008)

2007年度(US編)

去年から始めたiTS年間ベストセラー大人買い祭り。まだ2年しかやっていませんが、日本のベストセラーの励まし系・純愛系・バラード系の多さには頭痛がします。じゃあアメリカはどうなのだろう?と素朴に疑問に思ったので、今年から「iTS年間ベストセラー大人買い祭り(US編)」もやってみようと思います。ルールは同じで、iTunes Store USで曲ダウンロードの年間50位に入った曲を片っ端から購入して無責任に感想を書きなぐるということです。

総評ですが、日本版のバラード攻勢と違い、やはりUS版のトップ50の方がバラエティーに富んでますね。未だに音楽配信に抵抗しているレコードレーベルが多い遅れた日本に対して、大半が参加しているアメリカのiTSのチャートの方がバラエティーに富んでいるのはある意味当然かもしれませんが、それだけじゃない気がします。今時の日本の若者は、やたらと「感動」や「癒し」や「友情」を求めている気がする。経験からすると。ポジティブでいいじゃないかと思う反面、正直ひ弱さも強く感じてしまいます。そんなに不安なのかと。そんなに友だちに支えてもらいたいんかと。そんなに感動が欲しいんかと。そのあたりがチャートの音楽性に現れている気がしてなりません。

というわけで、以下、感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。

ではでは、本年度分。

1. Fergie / Big Girls Don't Cry (Personal) (2006) ★★★

今年はファーギーブラック・アイド・ピーズから独立した白人シンガー/ラッパー)の年でしたね。この曲はオレ的には普通。(追記:ファーギーBEPを辞めたと思ったら辞めてなかったです。)

2. Gwen Stefani / The Sweet Escape (feat. Akon) (2006) ★★★

ノー・ダウトのグウェン・ステファニのソロですが、この曲の良さが今いち良く分かりません。ちょっとレトロソウルっぽい? チェアーマン・オブ・ザ・ボードの1970年のヒット曲「Give Me Just a Little More Time」にちょっと似ている。

3. Plain White T's / Hey There Delilah (2005) ★★★

アコギ弾き語り系。悪くないです。もっとアクが欲しいかも。2005年の曲だけどなんで2007年にヒットしたんだろ。

4. Avril Lavigne / Girlfriend (2007) ★★★

日本版iTSチャートでも18位だった曲。しかもこのUSチャートではリミックスが49位に入っています。そんなに好きか。

5. Fergie / Glamorous (2006) ★★★★

再びファーギーファーギーのイメージを代表する曲…かな。こういう泡沫な感じは嫌いじゃありません。

6. Kanye West / Stronger (2007) ★★★★

今を代表するラッパー、カニエさん。この曲はダフト・パンクの「Harder, Better, Faster, Stronger」(2005)のサンプリング一発勝負というか、ダフト・パンク・ファンにとってはカニエ・ウェストの曲というよりダフト・パンクのリミックスという感じがしないでもない。でも聴いていてクセになります。好き。

7. Maroon 5 / Makes Me Wonder (2007) ★★★

マルーン5ってこういう芸風だったんだ。最初聴いたとき一瞬黒人グループと思った。微妙な80年代ソウル風味がおもしろい。

8. Akon / Don't Matter (2006) ★★★★

ラガ/ラヴァーズ・ロック系です。Akonという人は今年裏方でも活躍した人のようですね。All Music Guideではあまり高い評価していませんが、この手の泣きの曲はオレは弱いです。声も好き。良いです。

9. Timbaland / The Way I Are (feat. Keri Hilson & D.O.E.) (2007) ★★★

今年はティンバランドが何曲も入っていてびっくり。最新情報に疎くR&Bから離れているオレはティンバが未だに一線でやっているとは知りませんでした。この曲はちょっとエレクトロな雰囲気。ティンバランドにしてはライトな感じがするけど悪くありません。

10. Shop Boyz / Party Like a Rock Star (2007) ★★★

今年かなり活躍したらしい、南部系パーティー・アホ・ヒップホップ。曲名からしてアホっぽいですね。嫌いじゃないです。

11. Soulja Boy Tell 'Em / Crank That (Soulja Boy) (2007) ★★★★

アホっぽいのはこちらも同じですが、こっちの方が突き抜けていて良い。なんでも17歳でYouTubeベースにブームを巻き起こしたインディなパーティーラッパーだそうですね(メジャーデビュー済み)。録音に50ドルぐらいしか予算かかってないんじゃないかというような、超チープな、ほとんど掛け合いのみで成り立っている曲で、この潔さがいい。アホ・パーティー・ラップだけど、17歳でメディア戦略を売っているあたり、実は賢いのだろう。

12. Rihanna / Umbrella (feat. Jay-Z) (2007) ★★★★★

よくラジオでかかってましたね。いかにもポスト・ビヨンセという感じのボーカルですが、「アンダマイ・アンブレラ、レラ、レラ、エ、エ、エ」というサビが大変印象に残ります。ポジティブかつ力強い、凛とした歌詞も良いですね。

13. Timbaland / Apologize (feat. OneRepublic) (2007) ★★★

再びティンバランド。バラード。そこそこ印象に残るけどちょっと薄味かなあ。

14. Nickelback / Rockstar (2007) ★★

駄目だ、こういうマッチョ系アメリカンロックは。今回はこのNickelback(カナダのバンドらしいけど)とDaughtryがそれ系で、こういうのってアメリカでは根強いんだなあと感心。でも生理的に受け付けない。関係ないけど、オアシスのリアム・ギャラガーのボーカルって、こういうマッチョアメリカンシンガーの臭いを感じて今いち受け付けないんですよねえ。こんなことを言うとファンに殺されそうですが。

15. Colbie Caillat / Bubbly (2007) ★★★★

今年のTop 50で唯一の西海岸系フォーキー女性ボーカル曲。さわやかですねー。心が洗われるようです。かなり気に入りました。

16. Timbaland / Give It to Me (feat. Justin Timberlake & Nelly Furtado) (2007) ★★★

三たびティンバランド。今までの3曲の中では一番ティンバっぽいかな。

17. Nelly Furtado / Say It Right (2006) ★★★★

この人のことは知りませんでしたが、この曲良いですね。ビートが強調されたバックに乗る線の細いボーカルが味になっています。アルバム欲しい。

18. T-Pain featuring Yung Joc / Buy U a Drank (Shawty Snappin') (2007) ★★★★

スムースなグルーヴのヒップホップR&B。けっこう良いです。メロウなラップを目指すならこういうのをおながいします>日本の自称ヒップホッパーの皆さん。

19. Gym Class Heroes featuring Patrick Stump / Cupid's Chokehold / Breakfast in America (feat. Patrick Stump) (2007) ★★★

白人バンドだけどR&B色も強し。「ばららら♪」というフレーズが頭に残ります。だからといって別に好きというわけでもないけど。

20. Daughtry / It's Not Over (2006) ★★★

伝統的なタフなアメリカンロック。ポストグランジの香りもあるけどやっぱ汗臭い。アメリカン・アイドル(現代版「スター誕生」)出身らしいです。

21. Fall Out Boy / This Ain't a Scene, It's an Arms Race (2007) ★★★

知らんなあ。人気があるらしいパンク・ポップ系バンド。この手のバンドには興味がないんですが、この曲は80年代風味でちょっと印象に残ります。

22. Fall Out Boy / Thnks Fr Th Mmrs (2007) ★★

2曲続けてFall Out Boy。こっちは普通っぽすぎて個人的には今いち。

23. Mims / This Is Why I'm Hot (2007) ★★★

スローで溜めのあるバックビートが心地よいヒップホップ。けっこう良いです。でも「This Is Why I'm Hot」というような定番テーマにも飽きたな。

24. Sean Kingston / Beautiful Girls (2007) ★★

スタンド・バイ・ミー」ネタのダンスホール・ラガ。個人的にはレトロっぽさがあざとく感じてしまいます。

25. Daughtry / Home (2006) ★★★

Daughtry、2曲目。マッチョ・アメリカン・ロック。パワーバラードっぽい感じ。うまいと思うけど暑苦しい。

26. Beyonce / Irreplaceable (2006) ★★★

ショービズっぽさを脱皮したいらしいビヨンセのアコースティックな一品。それでも抜けないショービズ臭。スターは大変です。

27. Linkin Park / What I've Done (2007) ★★

リンキン・パークDaughtryのようなマッチョ・アメリカン・ロックとの違いが今いち分からない…。

28. Justin Timberlake / What Goes Around.../...Comes Around Interlude (2007) ★★★

意外に着実に頑張っている元Nシンクのジャスティン君。ティンバランド系の、エキゾチックな色のあるバックトラックもジャスティンの線の細いボーカルによく合っていて、自分の特性を良く分かっているなと思わされます。

29. Nickelback / If Everyone Cared (2007) ★★

マッチョアメリカンロック再び。

30. Fergie / Fergalicious (2006) ★★★★★

三たびファーギーファーギーの3曲ではこの曲が一番泡沫っぽくて一番好き。マイアミ・フリースタイルっぽいトラックにクラフトワークの「It's More Fun To Compute」。薄っぺらいビートがファーギーの嘘っぽいゴージャスさにぴったりで素晴らしい。

31. Alicia Keys / No One (2007) ★★★★★

今回のiTS大人買い祭り、日米通してもっとも感動したのがこの曲。ベタな定番泣きコード進行なんですが(てゆうか、ブラック・アイド・ピーズの「Where Is Love?」にアレンジもそっくり)、それでも聴かせるのは歌の力ですね。決してものすごくうまいという感じでもないのですが、情念が感じられます。すばらしいです。カワイイし。こっちのニューイヤー・カウントダウンでNYのタイムズスクエアでアリシアちゃんがこの曲を歌っていましたが、いやあ天は二物をあたえるなあと感心するほど美人でした。歌も良かったし。…って褒める順番が間違っている気がしますが。

32. Rihanna / Shut Up and Drive (2007) ★★★★

リアーナ2曲目。こちらはなんとハードロック調。でも良いですね、この曲も。アルバム欲しくなりました。

33. Boys Like Girls / The Great Escape (2007) ★★

パンク・ポップ系バンド。押しの強いいかにもなサビが嫌。このサビで受けたんだろうけど。

34. Matchbox Twenty / How Far We've Come (2007) ★★★

キャリア長いですね、マッチボックス20も。安定したアメリカンロックです。悪くないです。

35. Baby Bash / Cyclone (2007) ★★★

スロー・グルーヴのヒップホップ。まあまあ。

36. P!nk / U + Ur Hand (2006) ★★★

P!nkにしては普通のアメリカンロック。

37. Huey / Pop, Lock & Drop It (Video Edit) (2007) ★★

ヒップホップ。特に感想なし。

38. Chris Brown / Kiss Kiss (feat. T-Pain) (2007) ★★

ヒップホップ。感覚が麻痺してきました。区別つかねー。

39. Justin Timberlake / Summer Love/Set the Mood Prelude (2007) ★★★★

ジャスティン2曲目。ティンバランド系トライバルなビートのヒップホップ色の強いR&B。普通にカッコいいです。うまいなあ、ティンバーレイク君。(歌が、じゃなくて自己プロデュースが)

40. Kelly Clarkson / Never Again (2007) ★★★

アメリカン・アイドル出身の代表的シンガー。なんでも2007年はポップ・シンガーを脱しようとしてレーベルと色々ともめたらしい。確かにこの曲はかなりロックっぽい曲で、ボーカルも伸びがあってかなり良いです。でも音だけハードになっても商業っぽさは消えないんだけど。

41. Hurricane Chris / A Bay Bay (Main) (2007) ★★★

ヒップホップ。この曲は嫌でも覚えてしまうなあ。さあみんな一緒に! ベベベイ、ベベベイ、ベベベイ…

42. T-pain / Bartender (feat. Akon) (2007) ★★★

T-pain,2曲目です。R&B。18位の「Buy U a Drank」の方が好きかな。そういや両方ともバーをモチーフにした曲だな。

43. Beyonce & Shakira / Beautiful Liar (2007) ★★★

ビヨンセシャキーラのスター共演も、今いちパンチに欠けるな。旬が過ぎたのだろうか。

44. Amy Winehouse / Rehab (2007) ★★★

この人の名前は良く耳にしたけど聴いてびっくり、これはいつの曲ですか!? 50年代か! レトロっぽいんじゃなくてそのもの。どう評価してよいものやら…。これが売れた背景を勉強する必要がありそうです。

45. The Red Jumpsuit Apparatus / Face Down (2006) ★★

パンク・ポップ。こういうのも区別つかんな。段々腹が立ってきた。

46. Hellogoodbye / Here (In Your Arms) 4:03 (2006) ★★★

ちょっとバグルスを思わせる、オタク風ローファイ・エレクトロニカ・ロック。このTop 50では異色ですね。そういえばTop 50にはエレクトロニカの曲が一曲も入ってませんね。

47. Elliott Yamin / Wait for You (2007) ★★★

これもアメリカン・アイドル出身らしい。白人だけど非常に黒人R&Bっぽいです。でもそれ以上の感想も出てこない。

48. Lifehouse / First Time (2007) ★★★

こりゃまた典型的なコンテンポラリー・アメリカン・ロックだなあ。ソツなくまとまっています。ソツないだけという気がしないでもないけど。

49. Avril Lavigne / Girlfriend (Featuring Lil' Mama) [Dr. Luke Mix] (2007) ★

アヴリルちゃんの4位の曲のリミックス。どうでもいい出来。

50. Britney Spears / Gimme More 4:13 (2007) ★★★

なかなか多難なブリトニーちゃんの復活作はそこそこの評価を受けたようですが、このシングルを聴く限りではいかにも弱いなあ…。カイリー・ミノーグがやってもおかしくない感じの曲だし、ブリトニーじゃなきゃいけないという必然性があまり感じられません。

異常です。じゃなくて、以上です。

2007年度(日本編)

明けましておめでとうございます!

2006年度に引き続き、iTunes Storeの年間チャート(曲単位)のトップ50を大人買いして片っ端から感想を書くコーナーをやりたいと思います。スーパー同居人ちゃんには「何で聴きたくないものをわざわざ延々流すの?」と大不評のこの企画ですが、こういう自分を痛めつける企画、けっこう好きなんです。ということで今年もやります。ついでに今年は日を改めてUS編もやる予定。

それはともかく日本版の概観です。2007年度のiTSの曲チャートを概観すると、まず、邦楽・洋楽の割合ですが、2006年度に引き続き、今年も洋楽はTop 50でわずか2曲。ただ、去年はその2曲がCeltic Woman(アイルランド。40位)とOzone(ルーマニア。45位)の英米以外の2組だったのに対し、今年はアヴリル・ラヴィーン(18位)とNe-Yo(40位)というアメリカ組が2組となりました。

相変わらずヒットしている曲に関心がないオレですので、知らない曲がほとんどですが、偉そうに総評をぶちかませば、相変わらず甘ったるくてヌルいバラードが多くて辟易。それから去年よりいっそう嘘ラップが幅をきかせている状況に激しく頭痛を感じました。自虐的な冗談だとしても、ヒップホップを自称するのは辞めて欲しい、マジで。吐き気がするから。とはいえ、今年iTSチャートで躍進したFunky Monkey Babysは、「これはラップじゃないんだ、ヒップホップじゃないんだ」と自分に100回言い聞かせて聴けば、あなどれない作曲センスを持っているなあと少し感心しました。

また、全体として甘っちょろい曲が多いとはいえ、全体的に、去年よりクォリティーが増している感じがするのは、毎年「ビッグネーム」と言われている人が少しずつ参入しているからでしょうか。

というわけで、以下、感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。

ではでは、本年度分。

1. 宇多田ヒカル / Flavor of Life (2007) ★★★★

昨年に引き続き、ナンバーワンは宇多田。昨年ナンバーワンの「Keep Tryin'」は本当に素晴らしいと思いました。今年1位の「Flavour of Life」も悪くないです。でもちょっと無難すぎるというか、宇多田じゃなくてもありえる感じの曲。ドラマのエンディングテーマにぴったりな感じですね。本当にエンディングテーマだったのかは知りませんが。

2. GReeeeN / 愛唄 (2007) ★★

うーん、けっこうキツいかも。元気の良さだけで押す甲高い歌唱、青臭くて退屈な歌詞。典型的カラオケソング。途中嘘ラップ調になるのもトホホな感じ。

3. 宇多田ヒカル / Beautiful World (2007) ★★★

宇多田は今回4曲がランクインしてますが、どれも今いちパンチに欠ける気がします。アルバムで聴けばまた印象も違うのかもしれません。「Flavor of Life」より宇多田色は強いですね。でも「Flavor」の方が良い曲かも。

4. MONKEY MAJIK / 空はまるで (2007) ★★★

去年「Around The World」で初めて知った、カナダ人兄弟をフロントに据えるグループ。「Around The World」のビージーズとベックを合わせたような世界は本当に良かった。でもモンキー・マジックの本来の姿はこういうちょっとフォーキーで語り調のゆったりとした曲なんですよね。悪くない。

5. EXILE / Lovers Again (2007) ★★★★

EXILEは名前は知っているけど、こういうバラード系に興味ないので曲をちゃんと聴くのは初めて。けっこう良いですね。アメリカのR&Bをうまく日本風に消化しているし、カラオケソングにありがちな青臭さもないし、大人のバラードです。

6. 安室奈美恵 / Baby Don't Cry (2007) ★★★★

アムロちゃんは去年も入ってましたが、今年も着実にランクイン。しかも安定しています。さりげなくて軽やかなビート、肩の力の抜けた歌唱、ショービズのど真ん中で生きてきた人なのに、世俗っぽさがなくて清らかなのがすごい。

7. Bank Band / はるまついぶき (2007) ★★

ミスチルの桜井によるチャリティー系バンド。良くも悪くも最近の甘っちょろいバラードの源流は桜井にあるんだなと改めて実感させる曲。さわやかそうでいて実はアクの強いクドい歌唱はいつ聴いても微妙な感じ。

8. RIP SLYME / 熱帯夜 (2007) ★★★

今回のTop 50の「自称ラップ」系で唯一「嘘ラップ」じゃない本当のヒップホップ。ラテンジャズ風味のバックトラックも良いです。でもまあ、そんなすごい好きな曲でもない。

9. 宇多田ヒカル / Flavor Of Life -Ballad Version- (2007) ★★★★

1位の曲の別バージョン。あんまり印象変わらないけど、こっちの方が良い気がする。いや、そうでもないか。

10. 絢香×コブクロ / WINDING ROAD (2007) ★★★

今年のiTSチャートは絢香とコブクロが多いです。絢香は良く知らない。コブクロはイメージ的にチャゲアスっぽくて拒否反応も感じてしまう。…のですが、この曲は悪くない。生真面目で破綻のない曲ですが、意外にブルージーな持ち味もありますね。歌に力もあります。もうちょっと何か、真面目さ以外の要素も欲しいような。

11. FUNKY MONKEY BABYS / Lovin' Life (2007) ★★

今回買ったiTS Top 50の曲で、最初怒髪天を突くほど腹がたったのがこの「自称ヒップホップ」グループのFunky Monkey Baybys。おまえらなあ、これでヒップホップって殺すぞ!と思っていたのですが、嘘ラップの部分を除くと、このグループの曲は実はサビの部分がかなり良いことに気付きました。これで嘘ラップじゃなくて、普通の歌だったらもっと評価高いのに…。サビの覚えやすさゆえに一瞬★★★★付けようと思いましたが、「君を好きになって良かった〜」という寒イボ立つ歌詞を含む嘘ラップはオレ基準では無条件で★★減点なので、★★。

12. イエロー・マジック・オーケストラ / RYDEEN 79/07 (2007) ★★

再結成?したYMOの、代表曲のセルフカバー。正直、どうでもいい感じ。

13. 槇原敬之 / GREEN DAYS (2007) ★★★

槇原は安定しているんだけど、金太郎飴みたいなもので、もうどの曲聴いても同じにきこえる。覚えられない。

14. 宇多田ヒカル / Kiss & Cry (2007) ★★★★

イントロからしてカッコいいですね。今回ランクインした宇多田の曲ではもっともR&B色が強い曲ですが、宇多田らしい「和テイスト」も全開で今回の宇多田では一番好きです。

15. SEAMO / マタアイマショウ (2006) ★★★

去年43位にランクインしていて今年15位。根強い人気ですね。サビがなかなか良い。嘘ラップと青春ポジティブ歌詞が受け付けない。

16. SEAMO / Cry Baby (2007) ★★★

SEAMOがもう一曲。悪くはないけど、今年のTop 50では同系列のFunky Monkey Babysのインパクトが強くてどうしても霞んでしまいます。

17. 中島みゆき / 宙船(そらふね) (2006) ★★

中島みゆきのハードロックソングって、「狼になりたい」「慟哭」を聴いたときは「すげえ!」と思ったけど、この曲はなんかすでに勢いが空回りしているというか、そんなにやけくそにならなくても…という感じ。もう歳なんだし。

18. Avril Lavigne / Girlfriend (2007) ★★★

トニー・バジルの「ミッキー」をグリーン・デー風にやったらこうなります、という感じの曲。この路線でいいのか?>アヴリルちゃん。

19. アキノ / 創聖のアクエリオン (2005) ★★★★

iTS年間チャートに今年はアニソンが2曲入ってます(もう1曲は49位の「残酷な天使のテーゼ」)。しかし、J-Popとアニソンの違いってそんなにないんだなとあらためて実感させられる一曲です。この曲は、曲もさることながら、アキノという人の歌唱が素晴らしい。地声が豊かで、緩急もあって、うるさいだけの2位のGReeeeNのボーカルはちょっとは見習えという感じです。かなり気に入りました。

20. 大塚 愛 / PEACH (2007) ★★★

なんかヤイコっぽい。ヤイコになったりアイコになったり、変化自在だな>大塚愛

21. EXILE / ただ…逢いたくて (2005) ★★★

バラードですねえ。以上。

22. FUNKY MONKEY BABYS / ちっぽけな勇気 (2007) ★★★★

また出た嘘ラップ。しかし、11位の「Lovin' Life」に続いて、こちらもサビのメロディーセンスが強力。メロディーセンスが良いだけでなく、歌唱も良いんだよな。ただ者じゃないですね。この嘘ラップにもだんだん慣れてきました。しかし、歌詞があいかわらず「励まし系善人ソング」で、死ねという感じ。曲タイトルだけで吐きそう。でも「Lovin' Life」に辛く★★付けたのでこちらは甘く★★★★付けておこう。

23. EXILE / 道 (2007) ★★★

EXILEたくさん入ってるねえ。頭が痺れてきた。

24. 絢香 / Jewelry day (2007) ★★★

アコースティックR&B調のバラード。割と良い歌い手さんですね、絢香さん。適度にアーシーです。

25. mihimaru GT / 気分上々↑↑ (2006) ★★★

去年2位、今年25位。みんなそんなに好きか、この曲が。この毒にも薬にもならないような曲が。

26. スキマスイッチ / 奏 (かなで) (2004) ★★★

スキマスイッチも2007年からiTS参入して、たくさん旧譜をランクインさせました。この曲はバラード。無茶なことを承知で言えば、EXILEとスピッツを足して2で割った感じです。悪くないです。

27. 絢香 / 三日月 (2007) ★★★

バラードですねえ。悪くないです。でもスキマスイッチが歌っても全然違和感なさそうな…。

28. mihimaru GT / かけがえのない詩 (2007) ★★★

ミヒマルのバラードですねえ。こうバラード攻撃が続くとだんだん思考能力が麻痺してきて何が良いのか悪いのか判断能力が馬鹿になってきます。これは日本人の思考能力を停止させる何かの陰謀ではなかろうか。

29. スキマスイッチ / 全力少年 (2005) ★★★★

ようやくバラード以外が出てきた…ぜいぜい。それだけで★★★★あげよう。いや、悪くないです。素朴なスピッツみたいな感じで。スピッツはすでに安定感がありすぎるので、これぐらいふらふらした感じの方がむしろ良いかも。

30. 大塚 愛/ CHU-LIP (2007) ★★★

今年も4曲ランクインしている大塚愛。iTSだけの現象? それとも他のチャートでも人気あるの? まあ顔はかわいいとは思うけど。この曲は大塚愛らしい曲ですね。平凡だけど。いや平凡というか、なんだか演奏や歌に魂が入ってないような。気の抜けたコーラのような。

31. スキマスイッチ / ボクノート (2007) ★★★★

ミディアムテンポの曲。スキマスイッチは今回聴くのが初めてなんですが(おい)、励まし系善人ソングの人たちと違って音楽的素養があって、そのおかげで歌詞もうわすべりしていなくて好感持てます。歌もけっしてすごくうまいわけじゃないけど緩急があって好き。

32. EXILE / 時の描片 ~トキノカケラ~ (2007) ★★★

すこしグルーヴ感のある曲で悪くないですね。

33. KREVA / くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ (2007) ★★★

これは、ラップはラップでも、FUNKY MONKEY BABYSやSEAMOなどの青春励まし系ラップじゃなくて、48位のSoulJaと同じように、「アーバン系クールぶりっこラップ」ですね。クールぶっているけど歌詞の内容は女々しいというタイプ。でもまあ、ラップはちゃんとラップになってます。それから、草野マサムネのサビの歌がメロディも歌唱も本当にすばらしく、これでラップがなければどんなに良かったか。

34. 大塚 愛 / プラネタリウム (2005) ★★★

去年12位、今年34位。なんでこんなヒットしているのか良く分からん。

35. 大塚 愛 / 恋愛写真 (2006) ★★★

こっちの方が個人的には好きですね。相対的に。

36. コブクロ / 永遠にともに (2007) ★★★

コブクロはどうしてもルックスがチャゲアスを連想させて受け付けないのですが、こうして強制的に聴かされてみると(誰も強制してない)、和の情念が染み付いていたチャゲアスより、コブクロはもっとさらりとしていて、チャゲアスより聴きやすいですね。それにしても保守的な曲だな〜あらゆる意味で。音楽に刺激を求めるオレみたいな人間には良く分からない世界です。

37. コブクロ / 桜 (2007) ★★★★

うっ、でもこの曲には不覚にもぐらっと来てしまった。ベタな曲ですが、ベタな美メロと伸びやかなボーカルの取り合わせが非常にうまくはまっている。やっぱり、「良い曲」というのは「この曲はこのアーティスト以外が演奏するのは考えられない」というのじゃないと駄目だと思いますね。「良い曲だけど別に他の人が歌ってもいいんじゃない?」じゃ本当に良い曲とは言えないと。この曲はその意味で、「良い曲」です。

38. BUMP OF CHICKEN / 天体観測 (2002) ★★★

2007年度から旧譜のみ参入した、若者に人気らしいロック・グループ。今回のチャート見ていてもホントにロックが全然入ってないから、ちょっとほっとしますね。感想としては…荒削りでヘタクソな感じ。うーん、これ一曲じゃなんとも。

39. mihimaru GT / 俄然Yeah! (2007) ★★★

「気分上々↑↑」も少しバックトラックがフィリー・ソウルの香りがありましたが、この曲はリズムやストリングス、ホーンの使い方にさらにフィリー色がはっきりしていて好ましいですね。もちろんソウルではなくフィリーディスコですが。「気分上々↑↑」より良い曲だと思います。もっとアクが欲しいところ。

40. Ne-Yo / Because of You (2007) ★★★

人気の黒人シンガー。てゆうか、そんなに人気だったんだ、日本で。といってもオレは良く知らんのだけど。

41. Def Tech / My Way (2005) ★★★

去年4位、今年41位の創価学会系ラップ。てゆうか、励まし系善人ラップって全部これと大差ないような気がするんだけど、もしかしたら励まし系のみなさん、みんな創価学会系なんですか?

42. DJ OZMA / アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士 (2006) ★★

去年17位、今年42位。紅白の余波か?

43. スピッツ / ルキンフォー (2007) ★★★★

今年もランクイン、頑張ってますベテラン。いつものスピッツ節としか言いようがありませんが、去年の新曲の「魔法のコトバ」より好きです。「ルキンフォー」というタイトルとサビが良い味を出してます。

44. 夏川りみ / 涙そうそう (2001) ★★★★

去年14位、今年44位。ロングヒットにふさわしい曲ですね。

45. BONNIE PINK / Water Me (2007) ★★★★★

えー、ファンですので、いや、正味の話、ボニピンのバラードではボニピン史上、歴代1、2位を争う名曲だと思います。ニューアルバムはこの曲だけが良かった。

46. ET-KING / 愛しい人へ (2007) ★★

今回最後の青春嘘ラップ。大阪弁。しかし思うんだけど、これってラガ系のラップだと思うんだけど、ヒップホップもラガも日本ではみんな同じ扱いなわけ?

47. Minmi / シャナナ☆ (2007) ★★★

レゲエ系らしい女性シンガー。でもこの曲はレゲエ系というより、ラガハウス少々、パラパラに民謡もまじったゴッタ煮っぽい感じ。メロディは生粋のJ-Pop。歌うまいしおもしろい…ような気もする。でも「願いをこめて!」という部分がなんか受け付けない。人間ひねくれているので、こういうひねりのないポジティブメッセージには拒否反応。

48. SoulJa / ここにいるよ feat. 青山テルマ (2007) ★★★

遠距離恋愛を歌った泣き系メロディのラップ。青春励まし系と違って、サウンドも雰囲気もR&B系で洗練されていて、サビのメロディの美しさは素晴らしいと思うけど、この馬鹿みたいな歌詞のラップに耐えられない。男っぽいようでいて女々しい。

49. 高橋洋子 / 残酷な天使のテーゼ (1995) ★★

エヴァンゲリオンの歌。昔のアニソンって感じ。

50. MONKEY MAJIK / Around The World (2006) ★★★★★

名曲ですね。去年は3位でした。

以上!

The Brand New Heavies ★★★

Brand New Heavies

The Brand New Heavies / The Brand New Heavies

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■ 実質デビュー作にして代表作

エンデア・ダヴェンポートのシルキーなボーカルをフィーチャーした、シングルヒット曲「Dream Come True」や「Stay This Way」をリアルタイムに聴いたとき、素直にカッコいい!とオレは思いました。特に後者のエレガンスにしびれましたね。とはいえ、今聞き返すと「当時の流行もの」的な気恥ずかしさも覚えるのも確か。そのあたり、時代を超える存在になれなかったということでしょうか。当時から指摘されていましたが、演奏力に際立ったものがなかったところが問題なのかもしれません。

ちなみにこのアルバムを聴くと、JBズっぽいR&Bテイストあふれるインストファンクが多く, 前述したソウルフルで「おしゃれ」なヒット曲は実はカムフラージュだったことが分かります。しかしだからといって、こういったJBズっぽいアーシーな曲が特別良いかと言うとそうでもなく、別にブランニューヘヴィーズを聴かなくてもJBズ聴いとけばいいという感じです。むしろダヴェンポートのボーカルをフィーチャーしたソウル路線の曲の方がいい。

ちなみにAMGでは★★★★1/2ついている(2007年12月現在)アルバムですが、過大評価だと思いますね。(12/17/2007)

ブランニュー・ヘヴィーズについて

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The Brand New Heavies

ブランニュー・ヘヴィーズ (1990年デビュー)
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【概観】

90年代前半のアシッド・ジャズ・ムーブメントの立役者の一つ。JBズやアヴェレージ・ホワイト・バンドといったアーシーなジャズ・ファンク・バンドに強い影響を受けつつ、インコグニート的なスムース・ソウルな要素をまじえて成功したバンドです。

(12/17/2007)