Let Go ★★★★
Bonnie Pink / Let Go
::★★★★::2000::Warner Music Japan::pop::rock::jp::
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■ フォーキー路線を少しロック寄りにシフト
4枚目のアルバム。
ちょうど2年ぶりとなるフル・アルバムは、ミッチェル・フルーム(スザンヌ・ヴェガ、シェリル・クロウ、ロス・ロボスなどのプロデューサーとして有名)のプロデュースによる録音となりました。ブリティッシュ・ポップ色は消え、全体にフォーキーなアルバムとなりましたが、EP「Daisy」ほどのフォーキーさはなく、フォーキーさをベースにロック的要素を入れた作品となっています。「Daisy」では徹底的にフォーキーを目指しましたが、ボニー・ピンクの本質はアコースティック・フォークではないので、少しずつロックを入れて、「新しいボニー・ピンク」を模索しているといった感じでしょうか。
ただ、正直、全体としてはこの試みは完全に成功しているとは言いがたいです。ミディアム〜スローの曲が多く、全体に平坦で地味な印象は避けられません。ミッチェル・フルームは、かなり実験的なこともすることで有名なプロデューサーなんですが、ここでは黒子に徹しています。もう少し思い切った実験があっても良かったんじゃないかなあ。
などと文句を言いましたが、個人的に、このアルバムの後半は相当好きです。地味ながらも、曲が素晴らしい。特に「Rumblefish」は名曲。前半の「Fish」も良い曲なんだけど、この時期のボニピンは魚に思い入れがあったのかな?
もう少しロックに歩み寄るか、それとももっとフォーキーに徹するか、どちらかにした方が良かった気もしますが、嫌いなアルバムではありません。(9/1/2007)
この曲を聴け!
- オレ的には、このアルバムからシングルカット曲のうちの2曲「過去と現実」、「Sleeping Child」は好きじゃないんですよね〜…なんか暗くて。「Sleeping Child」はアルバム1曲目なんですが、もうちょっとパンチのある曲を一曲目にした方が良かったのでは。
- このように、好きでない曲も入っている一方、地味ながら好きな曲もかなり入っています。まず、リラックスしたウォーキング・ビートのtr3「Trust」。ボーカルも清々しく、ザ・サンデイズのハリエット・ウィーラーをちょっと彷彿とさせる瞬間もあります。続くアコースティックなtr4「Reason」も良いです。「Daisy」に入っていてもおかしくない感じ。
- デビューアルバム以来の、ミディアムテンポのハードロック・ブルーズとなるtr7「Call My Name」も力強いボーカルが良いです。
- しかし個人的なベストはtr11「Rumblefish」。tr2「Fish」、tr4「Reason」と並んで、EP「Daisy」路線と言えるアコースティックでフォーキーな曲。「Just like two rumblefish, they die in an aquarium」という一節が心に残る、美しくも力強い曲です。
- このアルバムでもっとも軽快でポップなtr12「You Are Blue, So Am I」(シングルカット)も良いです。