evil and flowers ★★★

evil and flowers

Bonnie Pink / evil and flowers

::★★★::1998::ポニー・キャニオン::pop::rock::jp::
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■ セカンド・アルバムをより内省的に突き進めた3枚目

サード・アルバム。このアルバムに「★★★」だなんておまえはボニー・ピンクを分かっとらん!とお叱りを受けそうですが、★★★★に限りなく近い★★★ということでどうかご勘弁を。アルバムの客観的評価というよりも自分のお気に入り度ですので。

出世作となった前作に引き続き、このアルバムもトーレ・ヨハンソンのプロデュースによるスウェーデン録音になっています。前作以上にブリティッシュ・ポップ、スウェディッシュ・ポップの世界に踏み込んだアルバムで、英詞曲の多さと合わせ、このアルバムの洋楽志向は求道的なほどです。また、全体に静かな表情の曲が多いのも特徴です。

ただ、どうも全体にこじんまりとまとまりすぎているような気がします。実はオレのボニー・ピンク初体験がこのアルバムだったんですが、最初聴いたとき、「良いんだけど、どうにもこうにも小粒だな」と思い、しばらくボニー・ピンクから遠ざかったほどです。なんか、曲も歌唱もそつなく水準以上なのだけれども、器用すぎるというか、小さな箱庭にまとまってしまっているような閉塞感があったんですよね。「こうやって小さくまとまったのはトーレ・ヨハンソンが悪いんじゃねーの?」と思ったりもしましたが、ヨハンソンの責任というよりはやはり当時のボニー・ピンクの姿勢がこうさせたんだと今は思います。実際、ボニー・ピンクはこの後(正確には直後に新曲を発表した後)、煮詰まりを感じ、単身NYに渡り、1年間休養し、自分を見つめ直すことになります。

完成度は高いし、英国や北欧のロック・ポップス好きな人ならばむしろこのアルバムは最高の部類に入るかと思います。(9/1/2007)


この曲を聴け!

  • このアルバム、駄曲がない一方で、どの曲も同じぐらいのレベルの楽曲で、比較的地味なので、「これ!」という曲を選ぶのが却ってたいへんです。
  • 冒頭のタイトル曲「Evil And Flowers (Piano Version)」はライブでも良く演奏される曲で、代表曲の一つと言えるかもしれません。オレ的には雰囲気勝負の曲という印象がありますが。
  • オレ的なお勧めはシングルカットされたtr2「Forget Me Not」より、tr5「He」とか、シングルカットされたダークなバラードtr7「金魚」とか、ちょっと変わったところではビートルズ的というかブリット的なtr8「Masquerade」あたりか。
  • でも他の曲もどれも同じぐらい良いです。悪く言えばどれも大差ない。