Surprise! (Single) ★★★★

Surprise!

Bonnie Pink / Surprise! (Single)

::★★★★::1996::ポニー・キャニオン::pop::rock::jp::
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■ デビュー・アルバム路線を突き進めたセカンド・シングル

セカンド・シングル。シングルについては、節目になる曲や、注目曲を含むもののみ取り上げます。

さて、「新曲」となったこのセカンド・シングルですが、ボニー・ピンクがあざやかに「変身」する直前の節目として大変興味深い。ジャケットを見てわかるように、路線としてはデビューアルバムの延長線上。しかもヘビーな路線を引き継ぐもので、歌唱も野太くアグレッシブ。ミディアム・テンポの中、ディストーション・ギターに乗って、「強くなった自分」が方向を見失っている現状に対するいらだちを吐露します。そして、「もっと変わってしまいたい」という変身願望とともに、「Surprise! Daddy / Surprise! Mommy」とひたすら連呼します。色々と解釈の仕方のある曲だと思いますが、オレはここにボニー・ピンクのアーティストとして、見えない殻をつきやぶりたいという破壊衝動を感じます。シングルなのに6分を超える尺も、ボニー・ピンクの反骨精神が如実にあらわれていますね。個人的にはそれほど好きではない曲ですが、次のステップに飛躍する直前の、さなぎをまさに突き破ろうとしている爆発力のようなものが感じられて興味深いです。

しかしこのシングルが興味深いのはタイトル曲「Surprise」に限りません。カップリングのtr2「泡になった」とtr3「We've Gotta Find A Way Back To Love」。この2曲はボニー・ピンクの曲の中でもっともソウルフルな曲です。後者はフリー・ソウルのコンピにも入っているフリーダ・ペインの、原曲に忠実なカバーですからソウルフルなのは当然として、オリジナルの「泡になった」も、70年代マーヴィン・ゲイ的なシルキーなグルーヴをもったソウルフルな曲なんですね。両曲ともとても出来が良く、「泡になった」はボニー・ピンクの「隠れた名曲」と言っても過言ではないでしょう。ただ、ボニー・ピンクはここまでスモーキーでソウルフルな曲は後にも先にもやっておらず、また、とりわけロック的な「Surprise!」のカップリングということと考え合わせても、興味深い方向性です。デビュー作はブルージーでしたが、2作目はソウル色を強めようというアイデアもあったのでは?という妄想も膨らみます。

ファンは要チェックの好シングルです。(9/1/2007)