Too Fast For Love ★★★★★

華麗なる激情(紙ジャケット仕様)
華麗なる激情

Motley Crue / Too Fast For Love

::★★★★★::1981::Elektra::pop::rock::
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■ ヘタクソなのがカッコいい、グラムメタルの傑作

モトリー・クルーのデビューアルバム。自身のインディーレーベルから出てヒット、メジャーレーベルへの契約へとつながります。セルフ・プロデュース。

とにかくこのアルバムは痛快です。ローリング・ストーンズの「Sticky Fingers」のジャケ(アンディー・ウォーホールによるもの。画像参照)をレザーパンツと鋲打ちベルトやブレスレットの変態的(ハードゲイ的)に変えたジャケも最高だし、内容も同じぐらいいかがわしい。パワフル、ヘタクソ、ポップ。グラム・メタルの最高峰です。

Sticky Fingers

まずミック・マーズのヘタカッコいいギターリフで始まる1曲目の「Live Wire」はおそらくモトリー・クルーでもっとも激しい曲であり、最高の楽曲であると言えるでしょう。あくまでメタルにこだわった音楽性であるけれども、パンクっぽくもある。ヘタクソであるけど、音の分離も良く、音圧もあってカッコいい。バカっぽいトミー・リーのドラムがイカす。

間髪入れずに始まるtr2「Come On And Dance」はタイトル通りイージーなパーティー・ソング。3分以内に終わる潔さも良し。さらに立て続けにノンストップで続くtr3「Public Enemy #1」はチープ・トリックの「He's A Whore」をちょっと彷彿とさせるポップなハードロック。そして乙女チックなメロウさを持つtr4「Merry-Go-Round」まで、息もつかせぬ展開で、アイデアもおもしろいし、B級でいて演奏の迫力もあるし、文句なしですね。

乙女チックといえばtr7「Starry Eyes」(お星様なおめめ)やラストの「On With The Show」もいいですね。後者ではリズムが狂って演奏が崩壊しかかっているのがまた良い。

ということで、ヘタさ、勢い、馬鹿っぽさ、乙女ちっくなポップさ、いかがわしさなど、素晴らしいアルバムです。これらの要素がセカンド以降、レコード会社御用達プロデューサーによってすべて消し去られるのですから、恐ろしいところです、レコード業界は。(5/24/2007)