Too Much Too Soon ★★★★

Too Much Too Soon
悪徳のジャングル

New York Dolls / Too Much Too Soon

::★★★★::1974::Mercury::pop::rock::
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■ ぐっとグラム寄りになったセカンドにしてラストアルバム

ニューヨークドールズの2枚目にしてラスト・アルバム。

前作の原石っぽい粗いサウンドに対して、こちらは非常にクリアで分離の良いミックス。プロデュースしたジョージ・シャドウ・モートンという人はなんでもガール・ポップで有名らしいんだけど(不勉強のため良く知らない)、しょっぱなからTレックスみたいな女性コーラスがフィーチャーされてたりするからビックリ。ソウル・グループ、アーチー・ベル&ザ・ドレルズの「Showdown」をカバーする選曲もゲイっぽいケバさで良いです。

というわけで、全体にポップ度が上がり、完成度も上がった作品なんだけど、それでいてドールズの妖しげでワイルドな魅力も失なわれていないのがすごい。というか、ギターがすごくクリアに聴こえてきて、だから細かいジョニー・サンダースのギターの、だらしなくて危ういニュアンスが生々しく伝わるんだよね。それが実に良い。ヘタクソなだけのバンドじゃない、きちんと魅力的なプレイヤーがそろったバンドだったということを実感できます。

全曲良くて捨て曲ないけど、特に前半の勢いが良いです。ノヴェルティーな「Stranded In The Jungle」がうさんくさくて最高。この曲の「ジャングル部」はアダム&ジ・アンツがそっくりそのままパクっていたな。この曲自体カバーらしいけど。あと、サンダースがボーカルを取ったtr7「Chatterbox」が超・超・超カッコいい。ギターも、女みたいな声のボーカルも。

前作ほどのハードさはないけど、ラストの「Human Being」で前作のバイオレントさが垣間見れます。ちょっとおとなしくなってしまったと嘆くファンもいるかと思いますが、このショウビズっぽさの方が実はドールズっぽいんじゃないかと思ったりします。ということで個人的には前作よりこちらのほうが好き。 (1/25/07)