Sabbath Bloody Sabbath ★★★★

Sabbath Bloody Sabbath

Black Sabbath / Sabbath Bloody Sabbath

::★★★★::1973::Warner::pop::rock::
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■ ジャケと裏腹にメロウにシフト

5作目。前作でちょっとメロウな雰囲気をとりいれるなど、金太郎飴的なサバス・ワールドにも新展開の萌芽が見られたものですが、本作ではさらに新しい試みが見られます。それはなんとキーボードの導入! Yesのリック・ウェイクマンにキーボードを弾いてもらう曲がいくつか入ってます。このあたりの新機軸はリーダーでありギタリストのトニー・アイオミのアイデアらしいんですが、しかしですね、サバスは基本的に不器用な集団なわけですよ。アイオミはソロプレイヤーとしては大したことないし、オズボーンは永遠のワンパターン・ボーカリストなわけで。だから、サバスがちょっと目新しいことをしようとするとたいていダメなんだよね。

そうです。リック・ウェイクマンを入れるというこの試みは失敗していると思います。

嗚呼、このアルバムにリック・ウィエクマンが参加しなかったらどんなにか良かったか。従来のサバス的曲tr4「Sabbra Cadabra」のウェイクマンのムーグ・ソロとピアノのバッキングはヒドくはないけど、ウェイクマンなしでやったほうが絶対良かった。また、ムーグを全面に押しだしたtr6「Who Are You」は明らかな失敗作。ダサすぎ。

一方、このアルバムはラジオでのヒットをもくろんでか、ポップな曲がちらほらみられるのですが、シンセを入れたりとか、おかしなアレンジにさえしなければポップなサバスは悪くない。サバスの曲でおそらくもっともキャッチーなtr1「Sabbath Bloody Sabbath」(のちにカーディガンズがカバー(火暴)→ iTS JP)はサバスの代表曲の一つ。メロウで、オズボーンのメロディセンスの良さが良くでてる。他、tr7「Looking For Today」、tr8「Spiral Architect」といったマイナー曲も、いつになくメロディアスで悪くない。アコギによるインストtr3「Fluff」はアイオミの気が狂ったとしか思えないが、悪くない…のか?

ジャケのおどろおどろしさに反してマイルドな内容のアルバムであります。 (1/16/07)