Third ★★

Third

Soft Machine / Third

::★★::1970::CBS::pop::rock::
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■ 傑作と呼び名が高いがオレ的には退屈の一言…

ウェブのさまざまなサイト(All Music Guideから個人サイトまで)を見ると、このアルバムの一般的な評価は、(1)ソフト・マシーンがジャズ(・ロック)の領域に大きく踏み出した作品であり、(2)ソフト・マシーンの代表作(のひとつ)であるということであるようです。また、このアルバムをソフト・マシーンの最高傑作と評する人も多いようです。一方で、あまり肯定的でない意見も目にしました。で、オレも正直、「うーん‥」とうなってしまいました。

オレは、ソフトマシーンの1枚目2枚目にはジャズ的な要素は限り無くゼロに近いと思っているので、それに比べると確かにこのアルバムはジャズの要素がとりいれられたと言えると思います。1枚目と2枚目が短い曲を多数ノンストップでつなげた良質のポップアルバムだったのに対し、この3枚目はLPで言えば2枚組で、しかもLPの片面に1曲ずつしか入ってない、つまり全部で4曲しか入ってないということで、大きな方向転換であるし、もちろん1曲がそれぞれ17分ぐらいあるわけですから、即興演奏の占める割合が非常に高くなっています。実際、ロバート・ワイアットの3曲目以外はすべてインストです。

でも‥確かに楽器のソロを大々的にフィーチャーしたアルバムですが、うーん‥ジャズを感じるかと問われると感じないんですよね。管楽器の即興演奏にしても、フリージャズっぽさを気取ってはいるけど‥ランダムに音を鳴らせばフリージャズになるってものでもないでしょう。例えばオーネット・コールマンだって、フツーの人が聴いたらめちゃめちゃな音階を垂れ流しているだけと思うかもしれないけれども、彼は彼なりの強固な理論をもってああいう音を出しているわけですよ。一音一音にちゃんと意味がある。もちろんオレみたいなシロートにはそれを理論的に解析することは不可能だけれども、即興に緊迫感がある。でも、ここで聴ける即興の多くはそこまでの緊迫感はないように思うんですよ。指の動くまま手癖で演奏しているように感じられる。だから、正直、かったるい。あと、「意味ありげに長いけれども実際は意味ありげなだけでだらだら長いのみ」のイントロやエンディングとかにもげんなり。

がんばって何回も何回も何回も何回も聴いたけど、「短くできる曲を長くしただけ」という印象は拭えず、やっぱりどうしても退屈‥。 (1/7/07)