Tyranny and Mutation ★★★

Tyranny & Mutataion

Blue Oyster Cult / Tyranny and Mutation

::★★★::1973::Columbia::pop::rock::
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■ パンカビリー・ハード・ロック? けったいなアルバム

ということで、何を血迷ったか、突然ブルー・オイスター・カルトを聴いてみたくなったオレ。ぼか〜ブルー・オイスター・カルト(BOC)といえば「Fire Of Unknown Origin」(1981)をリアルタイムで聴いたのが最初で最後なんですが、なんか謎だったんですね、BOCって。「過激」なイメエジとは裏腹に音はいたっておとなしい。そのあたりの中途半端なスタンスが謎なんですよね。ということで、ちょっと過去のアルバムを買って聴いてみますた。

このアルバムは2作目なんですが、後のアルバムとは違ってアップテンポの曲が多いですね。しかし、AMGに書いてあるように、ヘヴィー・メタル的というよりはパンカビリー(パンク+ロカビリー)っぽい。んで、エリック・ブルームのボーカルがまた弱い。ルックスもそのへんのフツーのおっさんのよう。オレが中坊のときに「Fire Of Unknown Origin」を聴いて「あれ?ずいぶん大人しいな‥」と思った印象が蘇えります。もちろん、本作は「Fire Of ...」に比べるとずいぶんとハードだとは思いますが、バンド名、歌詞や曲タイトルがSF、ホラー、超常現象などを扱っていることをのぞくと、ほんと、フツーのアメリカン・ロケンロール・バンド。うーん、やっぱりヘンなバンドです。

ということで、このバンドが決して日本でブレイクしなかったのもうなずけます。歌詞わからない日本人にはフツーのアメリカン・ロックじゃけんね。しかもヌルい。

いちゃもんをいろいろつけてしまいましたが、悪いアルバムではありません。AMGがつけた★★★★☆ほどにはこの70年代中庸アメリカンロックに理解のないオレではありますが、つーか、最初聴いたときCDを叩き割ったろかと思ったりもしましたが。

しかし、たとえばこのアルバムのベストトラックだと思うtr3「Hot Rails To Hell」は非常にカッコいいリフの元祖パンク的ロケンロール。妙にメロウな展開になるのがBOCらしい中庸さですか。続くtr4「7 Screaming Diz-Busters」も出だしのギターリフがファンキーでカッコいい。しかし、すぐにメランコリックな調子のボーカルが入り、その直後にいきなりロカビリー的展開になるのが意味不明。なんつうか、こういうふうに妙なヒネリをいれずにいられないのがBOCの特徴と言えるかもしれません。

アルバム後半はミディアムテンポの、ちょっとメランコリックなメロディの曲が続き、音はあいかわらずヌルい。このあたりのメランコリーはBOCの曲をカバーしたことのあるメタリカあたりが影響を受けたんだろうなあと思ったり。

でもまあ、個人的にはパス。いや、このB級っぽいヌルさが良いといえば良いんだけど。

[追記]iTS USでBOCがスゲー充実しているのにワロタ。