The Last Concert Tour ★★

Last Concert Tour

Marvin Gaye / The Last Concert Tour

::★★::1991::Giant::soul::r&b::

マーヴィン生前最後のツアー(1983)をおさめたライヴ盤はマーヴィンの死後、現在にいたるまでかなりの種類が乱発されています。多くはマイナーレーベルから出ており、収録曲もだいたい似た感じ。ぼくはそのうちのいくつかしか聴いたことはないですが、海賊盤なみに内容で、マーヴィン初心者は絶対手をださないほうが良いと思います。腹立たしいのは、モータウンがきちんとコンスタントに正式アルバムを配給してない一方で、このあたりのあやしげな内容のアルバムが後をたたないため、なにも知らないひとがCD屋のマーヴィンのコーナーを物色するとけっこうな確率で、その「あやしげなアルバム」を手にするんじゃないかということです。ほんと、なんとか正常なディスコグラフィーが陳列されてほしいものです。

で、このライブですが、その後乱発される83年ツアーのライブ盤の、一番最初に出たものです(たぶん)。しかし最初に出たものだからといって内容が特に優れているわけではなく、のちの類似品となんら変わらない内容であります。収録曲が若干多いかな。

前述したように、モノラル、海賊盤なみの腰のない音で、マーヴィンのパフォーマンスも曲によってかなり荒がめだちます。しかし、細かいところを見ますと、まず、ピアノの弾き語りによる「God Is Love」(ジャケットには「God Is My Friend」となっていますが)が、素晴らしい。「Sexual Healing」の成功にも関わらず、コカイン乱用や家族問題など、私生活は相変わらずぼろぼろだったらしいマーヴィンの、救済をもとめるようなせつない歌が、悪い音質の録音の中からも聴くものの胸を強く打ちます。それから、タミー・テレルにささげるメドレーの最初の「Ain't Nothing Like The Real Thing」‥原曲と違ってスローバラードとして歌われますが、ここも泣けてくるぐらいせつない歌です。もうひとつ、短いですが、カバー曲の「Love Twins」はジャズファンク調でかっこいいですね。そんな感じです。 (4/10/02)