Roxy And Elsewhere ★★★★

Roxy & Elsewhere

Zappa/Mothers / Roxy And Elsewhere

::★★★★::1974b::DiscReet::pop::rock::
iTMS US

(zappa catalog #19)

このライブ盤からこのルース期のマザーズは超絶指向をつき進んで行くことになり、緩いブルーズ・ロック路線からカンタベリー系プログレに近い世界へ突入します。とはいえ、ファンキーさ、黒さはまだ残っております。というのも、このアルバムでは、ジョージ・デューク(key)、チェスター・トンプソン(dr)、ナポレオン・マーフィー・ブロック(vo)と三人もの黒人プレイヤーが在籍して重要な役割りを果しており、またベースのトム・ファウラーも白人ながらファンキーなベーシストだったということがあります。そのあたりのファンキーさはtr2「Pygmy Twylyte」やtr3「Dummy Up」、およびtr7「Cheepnis」の後半で顕著であり、またおそらくジョージ・デュークの影響でありましょう、tr4「Village Of The Sun」はジャズ・ファンク的でさえあり、のちにフレンチおされ系シンガー、イザベラ・アンテナにカバーされたほどです。しかしこのアルバムの圧巻はやはり、ザッパの楽曲でも一二を争う複雑さのtr5「Echidna's Arf」とtr6「Don't You Ever Wash That Thing?」でしょう。この二曲でのマザーズの一糸乱れぬアンサンブルは圧巻の一言。しかも、複雑で超難易度が高い楽曲なのにもかかわらずポップでファンキーでジャジーなのであります。ちなみにこのアルバムは、チェスター・トンプソンとラルフ・ハンフリーのツイン・ドラムなんですが、「Don't You Ever Wash That Thing?」ではこの二人のドラム・バトルも聴けます。

ザッパのライブアルバムとしては、1970年の「Weasels Ripped My Flesh」(半ライブですが)、71年の「Fillmore East, June 1971」、72年の「Just Another Band From LA」に続く4枚目ですが、ここに来てようやく録音機器のレベルがザッパの理想に追いついたという感じですね。ということでこのアルバムはザッパのライブで初めてザッパ・バンド/マザーズの演奏のクォリティーをストレートに体感できるようになりました。非常に高密度で、かつよく熟成され、練られた傑作。しかもポップ。 (6/25/03)