Zoot Allures ★★★★
Frank Zappa / Zoot Allures
::★★★★::1976::Warner::pop::rock::
(zappa catalog #22)
バンドメンバーが固定しなかったためザッパとボジオの二人でほとんどを録音したアルバム。そのせいで、全体的にこじんまり感があるのは否めません。例えば、ルース期の最高峰「One Size Fits All」(1975)と聴き比べれば、演奏や音の豊かさの違いは歴然です。ザッパの苦難の時期を象徴するような作品。しかし、このアルバムはなかなか捨ておけない好曲がいくつも入っているのです。
特に、インスト曲が出色。いずれも小人数で録音されたもので(ライブ含む)、少人数なら少人数なりにできることをやっている感じが好ましい。まず、tr2「Black Napkins」は、ザッパのギターものインストでももっともシックな雰囲気の曲のひとつ。インストなのに黒っぽいコーラスがかぶさるところがザッパにしては異色。この曲は大阪でのライブ録音で、日本のファンにうれしいプレゼントですね。また、この「Black Napkins」以上にフュージョンっぽいインストがタイトルトラックであるtr8「Zoot Allures」。のちにコンサートの定番になった曲ですが、地味ながらぼくも大好きな曲です。ギターソロが「これから!」というところでフェイドアウトする慎しさは後のザッパを考えると意外な感じです。tr6「Friendly Little Finger」もインストで、エキゾチシズムも心地よい佳曲。
ボーカル曲では、tr3「The Torture Never Stops」がなんといっても有名ですが、長くてたるいからぼくはキラい。やっぱここはtr1「Wind Up Workin' In A Gas Station」でしょう。スピーディーなハードロック・ナンバーで、ファンクネス、すっとんきょうなボーカルをふくめ、非常にファンカデリックっぽいナンバー。ボジオのドラムの疾走感が最高。
最高ではないが、ファンには必携のアルバム。 (10/28/06)