The B-52's ★★★★

B-52's

The B-52's / The B-52's

::★★★★::1979::Warner::pop::rock::
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なんつうか、このB-52ズのデビュー作を聴いていると、「成功するロック音楽の条件とはなんぞや」と深く考えさせられますね。あらゆる意味で「売れそうなロック」から逸脱してる。アマチュア的しょぼい演奏。だいたいベーシストがいないし。歌になってないフレッド・シュナイダーのかけ声。意味なさすぎの歌詞。かといってアートでもない。アートというよりジャンク。しかし、耳にしたらやめられない魅力というのがあるんだよなー。だからこそこんなのがメジャーデビューできたりするんだよなー。たとえばこのアルバムで一番有名な曲である「Rock Lobster」とか、解説するのが馬鹿馬鹿しいほどの馬鹿馬鹿しい曲で、しかも意味不明なんだけど(「スポンジ・ボブ」のテーマ曲にぴったりだと思う)、なんか聴くほどにやめられない。実際ライブでは大盛上りだったそうですが、たしかにこのギターのフレーズには意味もなく心おどる。そして「Rock Lobster! Down! Down!」というところなんかでは、きっと観客も一体になってかがんだりするんだろうなと思ったりすると楽しい。そう、ギターといえば、このバンドの音楽の要はやっぱりリック・ウィルソンのギターだよな。シンプル極まりない、どこか空虚な響きの、時に三味線、特にテレヴィジョンのトム・ヴァーレイン&リチャード・ロイドを思いおこさせるようなギターで(本当か?)、どのフレーズも脳髄にこびりついてはなれない。天才。「Rock Lobster」の他では、tr3「Dance This Mess Around」の禅の世界のようなギターとか、tr6「There's A Moon In The Sky」の無機質のファンキーさや、tr8「6060-842」のつながらない電話の音を表現したギターとか、しょぼいけどすばらしいです。もちろん、当時はまだバックボーカルだったケイト・ピアソンとシンディ・ウィルソンの二人のディーヴァの、まだ荒削りだったボーカルも素晴しい。んで、フレッド・シュナイダーのしょぼすぎる存在感。何も申すことはございません。 (1/23/04)