Live! ★★★

Police Live

The Police / Live!

::★★★::1995::A&M::pop::rock::
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ザ・ポリス(ポリース)って不思議なバンドです。ポリスって一言で言えば「レゲエに影響を受けたパンク・バンド、のちニューウェーブ」って感じなんでしょうけど‥。この2枚組ライブ盤でも、特に1枚目のほう(80年ごろ)はパンクといっていい演奏なんですが、同時に微妙にパンクじゃないんですよね。「インテリだから」という理由では片づけられない気がします。同じインテリ系パンクでも、ザ・ジャムとは全然違う。音楽性が違うというだけでなく、疾走感が違う。どちらも演奏のBPMはとてもはやくて前のめりなんですが、ジャムはギター、ベース、ボーカル、そしてドラムが一体となって実際のBPM以上の疾走感を生むのに対して、ポリスの場合は、なんか、楽器が分離している印象がある。各人個性あふれるプレイヤーだし、天才ドラマー、スチュワート・コープランドのプレイはやはりスリリング。でも、バンド全体として聴くと、妙に醒めている。そのへんが良いといえば良いんですけど。

このライブ盤は2枚組でゼニヤッタ・モンデッタ・ツアー(あれ?それともレガッタ・ドゥ・ブラン・ツアーか?)のボストンでのライブ(80年ごろ?)と、シンクロニシティー・ツアーのアトランタでのライブ(83年ごろ?)のカップリングなんですが、まず1枚目の前者は前述したようにかなりパンキッシュ。うれしいことに、素晴らしいデビューアルバムからの曲が多く、「Next To You」、「So Lonely」、「Peanuts」、「Roxanne」、「Be My Girl/Sally」といった有名無名の名曲どもが、前のめりのラフな演奏で次々と披露されていきます。やっぱこのあたり、良い曲だと改めて実感。ワン・パターンで、バカみたいに単純なんだけどね。それから、アルバムに入らなかった超初期の「Fall Out」なんて曲も入ってて、これもパンキッシュでキャッチーですごく良い。しかしこうして聴くと、アンディ・サマーズのギターって、な〜んかタコだなぁと思う。基本的にパンクな人じゃないんだと思う。

それに比べると、もっとニューウェーブっぽい2枚目のシンクロニシティー・ツアーでのアンディ・サマーズはとっても「らしさ」がでていて良いです。「Synchronicity I, II」とかでのプレイもいいし、「De Do Do Do De Da Da Da」はアンディ・サマーズでなければ成り立たないなと痛感させられます。この「De Do Do Do...」は2枚目のハイライトだと思います。他、この2枚目は後期の曲がやっぱり良い。よく練られた曲がじっくり演奏されている感じ。ただ、この末期のライブにバックボーカル以外はサポートミュージシャンが一切参加していないのはとても意外です。それだけ「バンド」としての3人にこだわったんでしょうけど、前述したように、ポリスというバンド自体、本質的にバンドのマジックを生み出すタイプじゃないので、食い足りなさが残るというか、この音楽性なら大所帯にしてゴージャスに演奏した方がずっと魅力的だったのにな、と思ったりします。 (7/30/03)