Quickness ★★★★

Quickness

Bad Brains / Quickness

::★★★★::1989::Caroline::pop::rock::
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ラスタファイによる黒人ハードコアバンドであるバッド・ブレインズは、80年代のブラック・ロックの潮流の強力な一撃であっただけでなく、アメリカのハードコア・パンクの草分けでもありました。そんなバッド・ブレインズの4枚目のスタジオ・アルバム。ちょうど時代はクロスオーバーの時期で、ハウスとヒップホップがオーバーグラウンドに浮上していた頃合。というわけで、この時代のハードロックバンドの多くはファンキーなリズムを導入していたのですが、バッド・ブレインズもその例に漏れず、縦ノリのハードコア色を押さえ、横ノリのハードロック中心のサウンドをうちだしています。これが非常に良くできていて‥てゆうか、実はぼくはこのアルバムではじめてバッド・ブレインズを初めて聴いたので、思い入れが強いんですよね。昔からバッド・ブレインズを聴いてきたファンにとっては、このアルバムは「異色アルバム」にしかすぎないのかもしれないけど、そうでないぼくは、純粋に当時のブラック・ロックのレベルの最高水準であるこのアルバムにいたく感動したのでありました。粘りのあるリズムとギターリフとカリスマ性あふれるHRのボーカルがすばらしい、ブラックロック最高の一曲である冒頭のtr1「Soul Craft」、バッド・ブレインズの曲でもっともファンキーなタイトル曲など、実に骨のあるハードロックで良いです。tr3「The Messengers」やtr7「Sheba」のような、従来の高速ハードコア路線も、いつもよりもリズムがタイトでカッコ良いのであります(このアルバムは、ドラムはいつものアール・ハドソンでなく、マッキーという白人ドラマーが叩いていたらしい)。個人的なベストは「Soul Craft」の他は、tr9「No Conditions」。畳みかけるようにハードな曲でいて、ファンキーさも兼ねそなえているグレイトな一品。特にギターソロで演奏が手薄になるところ(ブラックロックは不要なギターの重ね録りはしない!)、ベースとドラムだけで力で聴かせきってしまうところが漢。 (7/22/03)