Law And Order ★★★★

Law & Order

Love Committee / Law And Order

::★★★★::1978::Goldmine/Salsoul::soul::dance::
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久々に聴いたけど、ヤッパリ(・∀・)イイ! 華麗なコーラス、流麗なストリングス、四つ打ちキックのダンスビートが特徴のフィリー・ソウルは70年代終わりにディスコブームによって衰退していき、一方、フィリーに影響を受けたフィリーディスコもヨーロッパを中心に登場しつつあったという時代(ちなみにフィリーディスコはヴィレッジ・ピープルあたりの流れにもつながっている)に、フィリーサウンドを演奏面で支えてきた黄金のトリオ=ギターのノーマン・ハリス、ベースのロン・ベイカー、そして天才ドラマーのアール・ヤング=が「ベイカー・ハリス・ヤング・プロダクションズ」を設立、サルソウルというニューヨークのソウル/ディスコ・レーベルに積極的に参画します。この流れはゲイ文化としてアンダーグラウンドにもぐり、のちのニューヨーク・ハウスの源流にもなるわけですが、ええと、前置きが長いですね。このアルバムは、ラヴ・コミッティーという4人組男声コーラス・グループのデビュー作。78年発売ということで、ちょうどフィリー末期とディスコ時代の中間にあたる時期なんですね。ということで、フィリー・ソウルの正統的ソウル魂を残しつつも、ドラムとベースを強調した強力なミックスで、ダンサブルな音をも追及しています。いやほんと、リズム隊は強力です。ちょっとクラブ/ディスコを意識しすぎてダンス・ナンバーはちょっと長めなんですが(冒頭のタイトル曲は9分ほどあるし)、ダンス・ミュージック的なのはあくまでリズム隊を強調したミックスと間奏部が長いアレンジのみで、音楽的ベースはあくまで正統派ソウル、ディスコの悪影響がありません。これが、製作があと1年遅れたらもっとディスコ的な内容になるんでしょうね。

おっと、サウンドのことばかり書いてしまいましたが、ボーカルにも見るべきものがあります。このグループは、ワイルドなバリトンと華麗なファルセットのツイン・リード・ボーカル形式なんですが、このバリトン(ジョー・フリーマンというひとかな?)はちょっと平凡。しかし、ファルセットは素晴しい。それもそのはず、このファルセットはのちにテンプテーションズに加入するロン・タイスンなんですね。深い味があるというタイプのシンガーではないものの、良く伸びる声の好シンガーです。そのタイスンがソロをとるバラードtr3「If You Change Your Mind」は激甘で、めまいがするほどのトゥーマッチ華麗な世界。タイスンは作曲能力もあり、このアルバムでも多くの曲を共作しており、結果このアルバムは全体として曲のクォリティーが高くなっています。この能力ゆえタイスンはテンプス活性化に一役買うことになるんですよね。

ということで、長くなりましたが、あまり渋みはありませんがスカーッと聴ける好盤です。 (4/5/03)

[追記]すごいすごい、こんなマイナーなアルバムがiTSにあるなんて!(6/22/06)