Protection ★★★

Protection

Massive Attack / Protection

::★★★::1994::Virgin::club::trip hop::
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マッシヴ・アタックの2作目。このアルバムの目玉はなんといっても冒頭のタイトル・トラック。エヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンをボーカルに迎えたこの耽美的な曲は、非常に多くの影響を与えました(たとえばOliveといったグループのコンセプトはまさにここに凝縮されているといえます)。ダークかつ淡々とした、ダブ的なバックトラックに、透明感と寂寥感あふれる女声ボーカルが浮遊するさまは独特の美しさをたたえています。この奇跡的なとりあわせは、トレーシー・ソーン本人にさえ非常に大きな影響を与え、アコースティック・ポップ・グループだったエヴリシング・バット・ザ・ガールは、その後トリップ・ホップやエレクトロニカに傾倒し、第二の成功を収めます(もちろんこの変身にはそれ以前にも布石があったわけですが)。何度聴いても新鮮な珠玉の名曲。続く「Karmacoma」も名曲。マッシヴ・アタックらしいダブの影響に、インド的パーカッションを折り重ねた曲です。しかし、このアルバムはこれ以降があまりぱっとしない。一曲一曲は悪くはないんだけど、通して聴くとどこか(悪い意味で)鈍重で、煮詰まりを感じさせさえする。ラストのアンディ・ホレースによる「ライト・マイ・ファイア」のライブバージョンはおもしろいと思うんだけど、こういう遊び心がもっと欲しかったところです。 (7/22/03)