Barbeque Dog ★★★★

Barbecue Dog

Ronald Shannon Jackson and The Decoding Society / Barbeque Dog

::★★★★::1983::Antilles::jazz::rock::
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このアルバムを最初に聴いたとき、正直あまり好きになれなかった。なんというか、自分の考える「ジャズ」とか「ジャズ・ロック」というものからあまりに離れていたから。でも、思うに、あのころは、いや、今でも全然わかってないんだけど、今以上にジャズや前衛ジャズのことが分かってなかったんだな、と、今になって思うわけですよ。このロナルド・ジャクソン&ザ・ディコーディング・ソサイエティの「ジャズ」には、浅はかなぼくが考えるような、「ジャズっぽいクールさ」とは無縁といえば無縁なんですよね。逆に泥くさい。たとえばこのアルバムには、ヴァーノン・リードがギターで参加してるんだけど、彼のプレイは、ジョン・マクラフリンやはたまたジャン・ポール・ブレリーのような、ロッキッシュなジャズ・プレイヤーより、さらにロックっぽい。というか、ほとんどロックそのもの? 最初聴いたときは、「こんなのジャズのプレイじゃないしカッコわるい!」と思ったのですが、すみません、間違ってました。泥くさくてカッコわるいところこそがポイントでした。ジャズのカッコさとかいう偏狭な視野では理解しえない音楽なんです。とにかくここで展開される音楽は本当に複雑で、かつ非常に現代抽象アート的、それでいて耽美のカケラもない、強力至極な音楽。いってみればジャズ界のキャプテン・ビーフハート。ロナルド・シャノン・ジャクソンのドラムを中心に、演奏もタイトですばらしい。 (10/14/02)