3+3 ★★★★★

3+3

The Isley Brothers / 3+3

::★★★★★::1973::T Neck::r&b::
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3人組ボーカルグループだったアイズリーズがギター、ベース、キーボードを加え、正式に6人組となった記念碑的作品、ゆえにタイトルが「3+3」(ちなみにドラムはギターのアーニー・アイズリーが兼任)。実際にはしばらく前から6人体制になっていたし、実際、前作の「Brother Brother Brother」とそれほど音的には変わってないんですね。しかし、正式に体勢をととのえたということで、わりに色んな音楽性をとりこんできたアイズリーズが、「これからはちょっと音楽性を統一しまっせ」という宣言ととれると思います。そして、アイズリーズの泣く子もだまる黄金期がはじまるわけですね。方向性としてはアーニーのギターを中心とするロッキッシュなファンクと、ロナルドのボーカルを中心とするセンシュアルなバラードの二本立てへとつきすすむことになります。

で、その第一弾のこのアルバムなのですが、この二本立てをおしだしつつも、このアルバム以前の、70年代白人シンガーソングライターやロック(キャロル・キングとかドゥービーブラザーズとか)とシンクロする音楽性のなごりがまだ残っているのが特徴です。そのせいで、黄金期の他のアルバムのこってりした感じにくらべると非常にあっさりとしてさわやかな印象があるんですよね。黄金期のなかでは、一番非黒人的アルバムでしょう。しかし、だからといって惡いわけではないのです。むしろアイズリーズの代表作の一つといえる出来です。捨て曲は一切ありません。ほんとうに一曲たりとも惡い曲がない。ジミヘン系のアーニー・アイズリーのギターが艶かしく流れていく冒頭の「That Lady」は間違いなくアイズリーズの最高の曲のひとつ。白人ソフトロックのシールズ&クロフツの曲のカバーの「Summer Breeze」、ラストを飾る「The Highways of My Life」の2曲はアイズリーズの最高のバラードに数えられるといえるでしょう。すばらし。 (9/7/02)