Eldorado ★★★★

Eldorado

Electric Light Orchestra / Eldorado

::★★★★::1974::Epic Sony::pop::rock::
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ぼくはELOって「Time」以降のいわゆる「打ち込みになって堕落した後」の時期しかしらないので、ここはひとつ勉強にと、本当の全盛期のアルバムを買ってみました。このアルバムは、ELOがヴァイオリンやチェロ奏者を含めた大所帯バンドだったころのアルバムで、しかもフル・オーケストラとの共演です! で、このトゥーマッチな感じがイイ! いやぁ、昨今、ここまで絢爛なオーケストラをつかったロックってなかなか耳にできないので(何よりお金がかかるし)、この豪華なサウンドはたまりません。で、曲がビートルズ直系なのは今も昔も変わらないのですが、この時期のジェフ・リンってジョン・レノン系ですね。打ち込みポップになってからのジェフ・リンって、ポール・マッカートニー系の「こなれたメロウさ」だと思うのですが、この頃はあきらかに中期以降のジョン・レノン路線。サイケデリックでゴージャスなサウンドに線の細いボーカルが乗ります。ジェフ・リン本人もELOのコンセプトとして「『アイム・ザ・ウォルラス』を原点にしてそれを発展させる」というようなことを言っていたみたいですが、まさにそんな感じ。というか、ボーカルのスタイルも、80年代のジェフ・リンとかなり違う。80年以降のジェフ・リンって、抑揚にはかけるけど比較的安定した甘いボーカルをきかせていたけど、このころのジェフ・リンはどこか頼りなげな感じで、いろいろなスタイルを模索していておもしろい。また、80年以降はボーカルのミックスが、ギミックのないまっすぐなものだったけど、このころのリンは、リバーブを深めにかけていて、まさにジョン・レノンっぽい。つーか、6曲目の「Mister Kingdom」って曲、サウンド、メロディ、ボーカル、ミックスからなにからなにまで「Across The Universe」そっくりなんすけど。そういう「なりきり」も愛嬌。たったひとつの難点は、そのリンのボーカルがこの当時は少々ヘタなところ。声の良さや雰囲気で埋め合わせしてはいると思うけど。もともとボーカリストじゃないんだからしょうがないか。それ以外はお勧め。この大げささはクィーンっぽいとも言えるかもしれないけど、ハードロックじゃない分だけ、暑苦しくなくて良いです。 (5/19/02)

[追記]iTSのは「パーシャルアルバム」販売(曲単位販売)ですが、曲自体は揃ってます。アルバム買いできないというだけで。(6/20/06)