2000 Best ★★★

2000 BEST

太田裕美 / 2000 Best

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太田裕美ってぼくからするとちょっと世代的に古いせいか、あまり知らないんです。「木綿のハンカチーフ」は断片しかしらないし、あと知っているのは「九月の雨」、それから一気に飛んで最後期となる大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」ぐらいです。ただ、静かな佇まいの中に甘さのある声とルックスが印象に残る歌手でありました。で、このベスト盤聴いてみました。作曲は筒美京平が中心。感想の第一としては、「く、暗い‥」。昔の歌謡曲ってこんなに暗かったっけ、と思わされます。まあ、もちろん「太田裕美は薄幸路線」というマーケティング戦略があったせいもあってこのヒット曲集が暗い曲ばかりなんでしょうけど、いやしかし暗いです。「しあわせ未満」や「失恋魔術師」などの一部の曲をのぞき、ギンギンにマイナー調の曲のオンパレードで、もともとあまりマイナー系の曲が得意でないぼくとしては、ちょっとキツいものがあります。あと、昔の歌謡曲ってアレンジがヘンですね。「なんでここでこういうギターが入るかなぁ」とか、「このピアノのフレーズはちょっと演歌入ってないか‥」とか思う瞬間多し。気付いたのですが、この時代の歌謡曲の伴奏というのは「合いの手」の役割を果たしていたんですね。だから歌のフレーズの合間合間に「ぴろりん」と、必ず楽器の音が入るんですよ。あと、曲のコード展開も不思議なのが多いです。一方、太田裕美の歌ですが、すごく技術的にうまいというわけではありませんが、太田裕美の歌唱はその控えめな甘い声を最大限うまく生かしたもので、非常に魅力的ですね。ベストトラックは歌唱では「恋愛遊戯」、総合ではやはり「九月の雨」かな。 (5/9/02)