Timeless (2CD) ★★★★★

Timeless

Goldie / Timeless (2CD)

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時代が少し経ってから聴いた方がよくなる作品があります。ぼくにとってこのゴールディーの金字塔的アルバムはそういうアルバム。このアルバム(1CDバージョンのほう)をリアルタイムで聴いたときは正直、「なんか安っぽい‥」と思った(特にキーボードの音)。その上、なんか過剰に叙情的だったし。ゴールディー特有の硬質なビートも、アルバムの妙な「大作感」のなか、どことなくもたついているようにも感じられたのです。

で、このアルバムは1CDバージョン(白っぽいジャケ)と2CDバージョン(黒っぽいジャケ)が出ていて、このたび2CDバージョンを買い直したんですね。イギリス本国でどちらのバージョンが先に出たのかは知らないけど、ぼくが最初に目にしたのは1CDバージョンでした。で、はっきり言って2CDバージョンのほうがずっと良いです。1CDバージョンだと当然ながら曲数が限られていて、食い足りなさが残るのだな。この2CDバージョンのトゥーマッチな感じのほうがこのアルバムの雰囲気にあってる。

で、アルバムリリースから6年以上もたって改めて聴き直した感想ですが、「安っぽい」というのは聴き直してもやはり変わりません。「You and Me」のピアノシンセの響きなんて、お前はリチャードクレイダーマンか!(良く知らないけど)と思ってしまいます。全体的に過剰に叙情的だという印象も相変わらずです。ただ、2CD分たっぷり聴かされるとその過剰さがだんだん気持ち良くなってくるんですね。また、最初に書いたように、「同時代的には許せなかったものが時代がたつと許せるようになる」ということがあるんですね。ぼくが最初にこのアルバムを聴いたとき、これは当時のドラムンベースの最先端を行く「べき」音であったわけです。影響力も大きい作品だし。だからこそ、同時代的には、聴く方としては一分の隙も許せないということになるのです。当時は過剰な叙情性やもっさりした感じ、フットワークの重さが、正直納得いかなかった。しかし今はそういったことが笑って許せるというか。それどころか「こういうちょっとダサい感じも新鮮じゃーん?」なんて思ったりします。

まあ、褒めてんのかけなしてんのか良くわからない感じだけど、でも、うん、この2枚組バージョンはまじでいいッスよ。1枚組の方で削られていた曲もどれも良い曲ばかりだし、シングル「イナー・シティ・ライフ」のリミックスも2バージョン入っていてお得な感じ。今も昔も「ちょっとダサい‥」と思うのには変わりないけど、CD2枚分、過剰な世界を聴かせてくれるとなんだかその過剰さゆえにうっとりしたりします。というわけで→ (12/31/01)