Movements: 30th Anniversary Anthology ★★★★

Movements

The Move / Movements: 30th Anniversary Anthology

::★★★★::1997::Westwood::pop::rock::

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ムーヴはELOの前身的バンドとして有名ですが(いや、「有名」ではないかな‥)、後のELOのリーダー、ジェフ・リンが参加したのは後期だけで、ムーヴは基本的にはロイ・ウッドのバンドです(ちなみにウッドもELOの創始メンバーだったがすぐ脱退)。この3枚組コンピは、そんなムーヴの活動を網羅したもの。なんといってもムーヴは4枚しかアルバムを出していないので3枚組コンピで相当分カバーできるんですね。実際、ムーヴが発表した4枚のアルバムのうち3枚はまるごとこのコンピにおさめられていて得した気分っす。

で、聴いた感想ですが、やっぱり初期がイイ! 遅れてきたブリティッシュ・インベイジョンというか、ムーヴのファーストが1968年だから、この手のビートバンドとしては後発で、実際、ブリティッシュ・インベイジョンの影響を受けたアメリカ西海岸バンド(特にザ・バーズあたり)の影響も逆輸入的に受けている音っす。で、かなり屈折した感じなのがイギリスっぽいというか、アメリカでブレイクしなかったのもわかるというか(ライブ音源を聴くとイギリスではかなり人気あったようです)。しかし、ロイ・ウッドの作曲能力は相当なもので、この時代を代表する作曲家のひとりなんじゃないかと思います。また、音がシンプルかつハードなのもいい。ガラージ・バンドの勢いと複雑なメロディのコンビネーションが初期ムーヴの魅力。未発表曲も良いのが多いです。

一方、セカンドアルバム以降は徐々にプログレ・ハードロックっぽくなっていっています。徐々にELOの方向に進んでいるというか。メロディは相変わらず良いのですが、70年代の厚みのある音と、ムーヴ独特の屈折ぐあいがあいまって、少々暑苦しい。セカンド・アルバムの「シャザム!」なんかは最高傑作と言われているけど、個人的な趣味ではギリギリだなぁ。それより、ファーストとセカンドの谷間のシングル曲「ブラックベリー・ウェイ」が白眉。

ボリューム的にはマニア向けという感じのするコンピですが、初期中期の優れた楽曲がこんだけまとめて聴けるのは圧巻也。 (11/24/01)