(Live @Lilli's, Somerville, Massachusetts, 11/17/2000, $15) ★★★★★

DJ Spooky / (Live @Lilli's, Somerville, Massachusetts, 11/17/2000, $15)

::★★★★★::2000::--::club::breaks::d&b::abstract::avant garde::

今回のハコの「Lili's」というのはうちから徒歩10分ぐらいのところにあるのですが、訪れるのは初めて。バーカウンターとソファとステージと空間があるだけのいかにもローカルなクラブ。しかし音はけっこういい。同行人が「チケットに席番号が印刷してあるけどどこ?」と問うけれど、こんなカウンターとソファしかないようなクラブに指定席があるわけもなし。もちろん席番号が印刷されているのはただの便宜上の整理番号のようなもの。

さて、DJスプーキーですが、小柄細見の黒人青年で、顔は黒人アイドル歌手のアッシャーのような雰囲気もありカワイイ感じ。しかしDJスプーキーといえば、NYの、Ambient ならぬ Illbient 系の代表選手のひとり。実験的で一筋縄では行かないクリエイターです(アート・リンゼイのアルバムにも参加したことがある)。「DJスプーキーのDJプレイは踊れない」というウワサもききます。本人もインタビューで「踊らせるためにプレイしているわけではない」と言ってたりする。

というわけで、始まる前は構えていたのですが、予想に反して、11時ごろに登場してしばらくはリラックスしたノリの正統派ヒップホップでせめてきました。いや、アブストラクトでなくて、ふつうのヒップホップ。ビースティー・ボーイズの「ボディ・ムーヴィン」もかけてたもんな。

しかしそれもツカミで、30分ほどしてからハードなドラムンベースに切り替わる。来た来た来た!つー感じで、ベース音がびりびり身体に響く気持ちよさ。特に変わったことをやったわけではないのですが、激カッコエエ!!

しばらくしてダウナー系になったので休憩を兼ねてフロアから退避、しばらくグッタリ(←このあたり歳)。しかしマサチューセッツ州は法律でクラブの営業は午前2時できっかり終わらねばならず、取締りも厳しい。11時に始まったとはいえ、終わるのは1時すぎです。ずっと休憩していては終わってしまう。チケット代が損だ!

というわけで、またフロアに復帰。ちょうどまた流れが変わったところで、レコードだけでなく、音響エフェクトやパソコン(←PowerBookでした)からの音源を駆使したアブストラクトな世界を繰り広げます。しまいにはエレクトリック・ウッドベースをもちだしてノイズ世界に低音を加味するしまつ。ちょっとやりすぎではないかとも思ったが、ま、愛嬌。最後はスクラッチ大会で幕。

ボストンのクラブイベントだと、NYと違って時間制限があるのが毎度のことながらDJに申し訳ないと思います(って別にぼくのせいではないけど)。今回もプレイの途中で店の側が客電をつけてしまった。しかしDJスプーキーはにっこり笑って「ボストンありがとう」と黒人英語でシャウト・アウトしてくれました。満員のフロアからは大きな歓声。めでたし。

ヒップホップからd&bからアブストラクトまで、盛りだくさんでしかも楽しめる内容でした。音もよかったし。満足どす。 (11/24/00, 18:05:11 (JST))