2007年度(US編)

去年から始めたiTS年間ベストセラー大人買い祭り。まだ2年しかやっていませんが、日本のベストセラーの励まし系・純愛系・バラード系の多さには頭痛がします。じゃあアメリカはどうなのだろう?と素朴に疑問に思ったので、今年から「iTS年間ベストセラー大人買い祭り(US編)」もやってみようと思います。ルールは同じで、iTunes Store USで曲ダウンロードの年間50位に入った曲を片っ端から購入して無責任に感想を書きなぐるということです。

総評ですが、日本版のバラード攻勢と違い、やはりUS版のトップ50の方がバラエティーに富んでますね。未だに音楽配信に抵抗しているレコードレーベルが多い遅れた日本に対して、大半が参加しているアメリカのiTSのチャートの方がバラエティーに富んでいるのはある意味当然かもしれませんが、それだけじゃない気がします。今時の日本の若者は、やたらと「感動」や「癒し」や「友情」を求めている気がする。経験からすると。ポジティブでいいじゃないかと思う反面、正直ひ弱さも強く感じてしまいます。そんなに不安なのかと。そんなに友だちに支えてもらいたいんかと。そんなに感動が欲しいんかと。そのあたりがチャートの音楽性に現れている気がしてなりません。

というわけで、以下、感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。

ではでは、本年度分。

1. Fergie / Big Girls Don't Cry (Personal) (2006) ★★★

今年はファーギーブラック・アイド・ピーズから独立した白人シンガー/ラッパー)の年でしたね。この曲はオレ的には普通。(追記:ファーギーBEPを辞めたと思ったら辞めてなかったです。)

2. Gwen Stefani / The Sweet Escape (feat. Akon) (2006) ★★★

ノー・ダウトのグウェン・ステファニのソロですが、この曲の良さが今いち良く分かりません。ちょっとレトロソウルっぽい? チェアーマン・オブ・ザ・ボードの1970年のヒット曲「Give Me Just a Little More Time」にちょっと似ている。

3. Plain White T's / Hey There Delilah (2005) ★★★

アコギ弾き語り系。悪くないです。もっとアクが欲しいかも。2005年の曲だけどなんで2007年にヒットしたんだろ。

4. Avril Lavigne / Girlfriend (2007) ★★★

日本版iTSチャートでも18位だった曲。しかもこのUSチャートではリミックスが49位に入っています。そんなに好きか。

5. Fergie / Glamorous (2006) ★★★★

再びファーギーファーギーのイメージを代表する曲…かな。こういう泡沫な感じは嫌いじゃありません。

6. Kanye West / Stronger (2007) ★★★★

今を代表するラッパー、カニエさん。この曲はダフト・パンクの「Harder, Better, Faster, Stronger」(2005)のサンプリング一発勝負というか、ダフト・パンク・ファンにとってはカニエ・ウェストの曲というよりダフト・パンクのリミックスという感じがしないでもない。でも聴いていてクセになります。好き。

7. Maroon 5 / Makes Me Wonder (2007) ★★★

マルーン5ってこういう芸風だったんだ。最初聴いたとき一瞬黒人グループと思った。微妙な80年代ソウル風味がおもしろい。

8. Akon / Don't Matter (2006) ★★★★

ラガ/ラヴァーズ・ロック系です。Akonという人は今年裏方でも活躍した人のようですね。All Music Guideではあまり高い評価していませんが、この手の泣きの曲はオレは弱いです。声も好き。良いです。

9. Timbaland / The Way I Are (feat. Keri Hilson & D.O.E.) (2007) ★★★

今年はティンバランドが何曲も入っていてびっくり。最新情報に疎くR&Bから離れているオレはティンバが未だに一線でやっているとは知りませんでした。この曲はちょっとエレクトロな雰囲気。ティンバランドにしてはライトな感じがするけど悪くありません。

10. Shop Boyz / Party Like a Rock Star (2007) ★★★

今年かなり活躍したらしい、南部系パーティー・アホ・ヒップホップ。曲名からしてアホっぽいですね。嫌いじゃないです。

11. Soulja Boy Tell 'Em / Crank That (Soulja Boy) (2007) ★★★★

アホっぽいのはこちらも同じですが、こっちの方が突き抜けていて良い。なんでも17歳でYouTubeベースにブームを巻き起こしたインディなパーティーラッパーだそうですね(メジャーデビュー済み)。録音に50ドルぐらいしか予算かかってないんじゃないかというような、超チープな、ほとんど掛け合いのみで成り立っている曲で、この潔さがいい。アホ・パーティー・ラップだけど、17歳でメディア戦略を売っているあたり、実は賢いのだろう。

12. Rihanna / Umbrella (feat. Jay-Z) (2007) ★★★★★

よくラジオでかかってましたね。いかにもポスト・ビヨンセという感じのボーカルですが、「アンダマイ・アンブレラ、レラ、レラ、エ、エ、エ」というサビが大変印象に残ります。ポジティブかつ力強い、凛とした歌詞も良いですね。

13. Timbaland / Apologize (feat. OneRepublic) (2007) ★★★

再びティンバランド。バラード。そこそこ印象に残るけどちょっと薄味かなあ。

14. Nickelback / Rockstar (2007) ★★

駄目だ、こういうマッチョ系アメリカンロックは。今回はこのNickelback(カナダのバンドらしいけど)とDaughtryがそれ系で、こういうのってアメリカでは根強いんだなあと感心。でも生理的に受け付けない。関係ないけど、オアシスのリアム・ギャラガーのボーカルって、こういうマッチョアメリカンシンガーの臭いを感じて今いち受け付けないんですよねえ。こんなことを言うとファンに殺されそうですが。

15. Colbie Caillat / Bubbly (2007) ★★★★

今年のTop 50で唯一の西海岸系フォーキー女性ボーカル曲。さわやかですねー。心が洗われるようです。かなり気に入りました。

16. Timbaland / Give It to Me (feat. Justin Timberlake & Nelly Furtado) (2007) ★★★

三たびティンバランド。今までの3曲の中では一番ティンバっぽいかな。

17. Nelly Furtado / Say It Right (2006) ★★★★

この人のことは知りませんでしたが、この曲良いですね。ビートが強調されたバックに乗る線の細いボーカルが味になっています。アルバム欲しい。

18. T-Pain featuring Yung Joc / Buy U a Drank (Shawty Snappin') (2007) ★★★★

スムースなグルーヴのヒップホップR&B。けっこう良いです。メロウなラップを目指すならこういうのをおながいします>日本の自称ヒップホッパーの皆さん。

19. Gym Class Heroes featuring Patrick Stump / Cupid's Chokehold / Breakfast in America (feat. Patrick Stump) (2007) ★★★

白人バンドだけどR&B色も強し。「ばららら♪」というフレーズが頭に残ります。だからといって別に好きというわけでもないけど。

20. Daughtry / It's Not Over (2006) ★★★

伝統的なタフなアメリカンロック。ポストグランジの香りもあるけどやっぱ汗臭い。アメリカン・アイドル(現代版「スター誕生」)出身らしいです。

21. Fall Out Boy / This Ain't a Scene, It's an Arms Race (2007) ★★★

知らんなあ。人気があるらしいパンク・ポップ系バンド。この手のバンドには興味がないんですが、この曲は80年代風味でちょっと印象に残ります。

22. Fall Out Boy / Thnks Fr Th Mmrs (2007) ★★

2曲続けてFall Out Boy。こっちは普通っぽすぎて個人的には今いち。

23. Mims / This Is Why I'm Hot (2007) ★★★

スローで溜めのあるバックビートが心地よいヒップホップ。けっこう良いです。でも「This Is Why I'm Hot」というような定番テーマにも飽きたな。

24. Sean Kingston / Beautiful Girls (2007) ★★

スタンド・バイ・ミー」ネタのダンスホール・ラガ。個人的にはレトロっぽさがあざとく感じてしまいます。

25. Daughtry / Home (2006) ★★★

Daughtry、2曲目。マッチョ・アメリカン・ロック。パワーバラードっぽい感じ。うまいと思うけど暑苦しい。

26. Beyonce / Irreplaceable (2006) ★★★

ショービズっぽさを脱皮したいらしいビヨンセのアコースティックな一品。それでも抜けないショービズ臭。スターは大変です。

27. Linkin Park / What I've Done (2007) ★★

リンキン・パークDaughtryのようなマッチョ・アメリカン・ロックとの違いが今いち分からない…。

28. Justin Timberlake / What Goes Around.../...Comes Around Interlude (2007) ★★★

意外に着実に頑張っている元Nシンクのジャスティン君。ティンバランド系の、エキゾチックな色のあるバックトラックもジャスティンの線の細いボーカルによく合っていて、自分の特性を良く分かっているなと思わされます。

29. Nickelback / If Everyone Cared (2007) ★★

マッチョアメリカンロック再び。

30. Fergie / Fergalicious (2006) ★★★★★

三たびファーギーファーギーの3曲ではこの曲が一番泡沫っぽくて一番好き。マイアミ・フリースタイルっぽいトラックにクラフトワークの「It's More Fun To Compute」。薄っぺらいビートがファーギーの嘘っぽいゴージャスさにぴったりで素晴らしい。

31. Alicia Keys / No One (2007) ★★★★★

今回のiTS大人買い祭り、日米通してもっとも感動したのがこの曲。ベタな定番泣きコード進行なんですが(てゆうか、ブラック・アイド・ピーズの「Where Is Love?」にアレンジもそっくり)、それでも聴かせるのは歌の力ですね。決してものすごくうまいという感じでもないのですが、情念が感じられます。すばらしいです。カワイイし。こっちのニューイヤー・カウントダウンでNYのタイムズスクエアでアリシアちゃんがこの曲を歌っていましたが、いやあ天は二物をあたえるなあと感心するほど美人でした。歌も良かったし。…って褒める順番が間違っている気がしますが。

32. Rihanna / Shut Up and Drive (2007) ★★★★

リアーナ2曲目。こちらはなんとハードロック調。でも良いですね、この曲も。アルバム欲しくなりました。

33. Boys Like Girls / The Great Escape (2007) ★★

パンク・ポップ系バンド。押しの強いいかにもなサビが嫌。このサビで受けたんだろうけど。

34. Matchbox Twenty / How Far We've Come (2007) ★★★

キャリア長いですね、マッチボックス20も。安定したアメリカンロックです。悪くないです。

35. Baby Bash / Cyclone (2007) ★★★

スロー・グルーヴのヒップホップ。まあまあ。

36. P!nk / U + Ur Hand (2006) ★★★

P!nkにしては普通のアメリカンロック。

37. Huey / Pop, Lock & Drop It (Video Edit) (2007) ★★

ヒップホップ。特に感想なし。

38. Chris Brown / Kiss Kiss (feat. T-Pain) (2007) ★★

ヒップホップ。感覚が麻痺してきました。区別つかねー。

39. Justin Timberlake / Summer Love/Set the Mood Prelude (2007) ★★★★

ジャスティン2曲目。ティンバランド系トライバルなビートのヒップホップ色の強いR&B。普通にカッコいいです。うまいなあ、ティンバーレイク君。(歌が、じゃなくて自己プロデュースが)

40. Kelly Clarkson / Never Again (2007) ★★★

アメリカン・アイドル出身の代表的シンガー。なんでも2007年はポップ・シンガーを脱しようとしてレーベルと色々ともめたらしい。確かにこの曲はかなりロックっぽい曲で、ボーカルも伸びがあってかなり良いです。でも音だけハードになっても商業っぽさは消えないんだけど。

41. Hurricane Chris / A Bay Bay (Main) (2007) ★★★

ヒップホップ。この曲は嫌でも覚えてしまうなあ。さあみんな一緒に! ベベベイ、ベベベイ、ベベベイ…

42. T-pain / Bartender (feat. Akon) (2007) ★★★

T-pain,2曲目です。R&B。18位の「Buy U a Drank」の方が好きかな。そういや両方ともバーをモチーフにした曲だな。

43. Beyonce & Shakira / Beautiful Liar (2007) ★★★

ビヨンセシャキーラのスター共演も、今いちパンチに欠けるな。旬が過ぎたのだろうか。

44. Amy Winehouse / Rehab (2007) ★★★

この人の名前は良く耳にしたけど聴いてびっくり、これはいつの曲ですか!? 50年代か! レトロっぽいんじゃなくてそのもの。どう評価してよいものやら…。これが売れた背景を勉強する必要がありそうです。

45. The Red Jumpsuit Apparatus / Face Down (2006) ★★

パンク・ポップ。こういうのも区別つかんな。段々腹が立ってきた。

46. Hellogoodbye / Here (In Your Arms) 4:03 (2006) ★★★

ちょっとバグルスを思わせる、オタク風ローファイ・エレクトロニカ・ロック。このTop 50では異色ですね。そういえばTop 50にはエレクトロニカの曲が一曲も入ってませんね。

47. Elliott Yamin / Wait for You (2007) ★★★

これもアメリカン・アイドル出身らしい。白人だけど非常に黒人R&Bっぽいです。でもそれ以上の感想も出てこない。

48. Lifehouse / First Time (2007) ★★★

こりゃまた典型的なコンテンポラリー・アメリカン・ロックだなあ。ソツなくまとまっています。ソツないだけという気がしないでもないけど。

49. Avril Lavigne / Girlfriend (Featuring Lil' Mama) [Dr. Luke Mix] (2007) ★

アヴリルちゃんの4位の曲のリミックス。どうでもいい出来。

50. Britney Spears / Gimme More 4:13 (2007) ★★★

なかなか多難なブリトニーちゃんの復活作はそこそこの評価を受けたようですが、このシングルを聴く限りではいかにも弱いなあ…。カイリー・ミノーグがやってもおかしくない感じの曲だし、ブリトニーじゃなきゃいけないという必然性があまり感じられません。

異常です。じゃなくて、以上です。