カエターノ・ヴェローゾについて

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Caetano Veloso

カエターノ・ヴェローゾ (8/7/1942生、1967年デビュー)
::brazil::

【概観】

「ブラジルのボブ・ディラン」とも言われるカエターノ・ヴェローゾ。ディランより二歳若いだけのヴェローゾにはしかし、「キャリアが長く影響力が大きく反骨的」という表面的なところ以外はディランとの共通点はあまりないように思います。ディランに比べるとヴェローゾは音楽的にかなり柔軟かつどん欲だし、エキセントリック。ボーカルも、ディランが旋律を破壊するようなスタイルであるのに対し、ヴェローゾはメロウ。まあ、「ブラジルのディラン」という呼称も、ヴェローゾが初期のころプロテスト・ソングで投獄されたり国外逃亡したりしていたころについたものかもしれませんが。

ヴェローゾのすごいところは、そしてこの点はディランを超えていると思うのですが、40年の音楽活動の中で、一度もスランプや潜伏期がなく、コンスタントに、浮き沈みなく常に一線で活動してきたところです。さらに、若い頃の声の艶がなくなってしまったディランと違い、ヴェローゾは65歳の今も、ボーカルが衰えてない。2001年に息子(モレーノ・ヴェローゾ)のアルバムで息子とデュエットしたヴェローゾは息子よりも美しい声を聞かせていたし。アルモドヴァルの映画「トーク・トゥ・ハー」(2002)でも神秘的なまでに美しい歌唱を披露していましたね。

もっともっと「大物」っぽく扱われても良い人だと思いますが、そうならないのは本人の肩の力の抜けたスタンスゆえか。

(11/22/2007)