[ライブ・レポート] Live concert at Museum of Fine Arts, Boston, 9/30/2007, $18 ★★★★

The Sea And Cake / (Live concert at Museum of Fine Arts, Boston, 9/30/2007, $18)

::★★★★::2007::--::pop::rock::

■ 意外にストレートなロックだった

あやうくライブの存在を見逃すところでしたが、一週間前に発見してさっそく観てきました。場所は美術館付きの講堂。それなりに広い講堂でしたが、広いと行っても講堂、コンサート・ホールよりはこじんまりとしていて、良い席でステージを満喫することができました。ちなみに自由席。

前座はメグ・ベアード。エスパーズのメンバーだそうですが、良く知りません。トラッド中心のギター弾き語りのステージで、アメリカン・フォーク色が強かったと思いますが、ところどころヴァシュティ・バニヤンにせまる神秘性を帯びるときもあり、悪くなかったです。が、ザ・シー・アンド・ケイクの観客にはあまり反応が良かったとは言えず。デヴェンドラ・バンハートのオープニングとかならもっと反応良かったろうに。

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さて、続いて真打ち、ザ・シー・アンド・ケーク登場。メンバーの顔も知らないので、最初出てきたときは「どれがサム・プレコップなんだ?」状態でしたが、どうやら真ん中の大学の先生みたいなのがアーチャー・プレウィットで、左端にいる地味な男がサム・プレコップらしいことが分かりました。ベースのエリック・クラリッジはそのへんのスポーツバーにいそうなベースボールキャップをかぶったデブで、そのへん歩いていても絶対「ポストロックシーンのスーパーグループの一員」とは分からないだろうなという感じでした。

で、出てきた音は予想を超えてゴツゴツした感じのロックで、プレコップのボーカルもウィスパーっぽくなくて、最初「あれ? これ、ほんとにシー・アンド・ケイクだよな? まさか同名異バンドでは?」などと疑う始末。後からAMGの新作アルバムのレビューを観ると、「新作はロックをめざしたらしいが」などと書いてあるので、意図的にロックっぽくしたのかもしれません。

しばらくすると、シー・アンド・ケイクらしい、ビートやフレーズの反復にメロウさを重ねるスタイルが発揮されていきますが、ギターはわりと歪んでいるし、ジョン・マッケンタイアのドラムはラウドだし(てゆうか、最初、ドラムがうるさすぎて、このバンドのガンじゃないかと思ったほど)、これはポスト・ロックでもなんでもなくて、ただのポスト・パンクだよな。

ただ、こうした、ロック指向の演奏を聞かせるザ・シー・アンド・ケイクを聞くと、このバンドはテレヴィジョンに似ているなと発見できたのがおもしろかった。ワンコードで延々、プレウィットとプレコットが織物を紡ぐようにギターフレーズをからませるところなど、テレヴィジョンのトム・ヴァーレインとリチャード・ロイドのようであります。

後半はめくるめくインスト・パートの比重が高くなり、最初うるさいと感じたマッケンタイアのドラムもバンドの音に溶け込むように感じられ、アドレナリンが分泌。静かに盛り上がりました。欲を言えば、プレコップのギターの音が小さかったのでもっと大きくしてほしかったな。

全体としては良かったです。一曲終わるごとにプレウィットとプレコップがすかさず下を向いてチューニング合わせの作業に入るのが笑えた。そんなに頻繁にチューニング合わせる必要があるのかと。(10/28/2007)