Transformation ★★★★

Transformation

Don Preston Trio / Transformation

::★★★★::2001::Cryptogramophone::jazz::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

■ 予想を超えて高品質なジャズアルバム ■

ドン・プレストンのジャズのリーダー作としては今のところ唯一の作品? 2001年ということは、プレストンが69歳の作品ですが、なんでもっと早くジャズのリーダー作出さなかったの?と思ってしまうほど出来の良いジャズ・アルバムです。ちなみにプレストンはピアノに徹して、電子キーボードは一切弾いてません。

曲は、ザッパの「Eric Dolphy Memorial Barbeque」のハード・バップ的解釈に始まり、カーラ・ブレイ2曲、親交があったクラリネット奏者ジョン・カーターの曲2曲、コール・ポーターの「I Love You」のフリー・ジャズ解体、そしてプレストンのオリジナル3曲です。全体に、ハード・バップ、ポスト・バップ、フリー・ジャズ路線ですが、ドン・プレストンのいかれた活動を考えると非常にオーソドックスなジャズ・アルバムとしてまとまっています。さらに驚くべきは、ドン・プレストンのオリジナル楽曲のクォリティーの高さです。特にtr5「The Lind Sonata」は、10分という長さの中にフリー・ジャズからロックっぽささえ感じさせるカッコいいナンバーで、間違いなくアルバムのハイライトになっています。

ドン・プレストンがそのキャリアで普通にジャズ・ピアニストとしてリーダー作品を発表していたら…と思ってしまう好作品。iTS USで7.99ドルだし、お勧めです。(10/24/2007)


この曲を聴け!

  • 正直、捨て曲はないですね。オレ的には上述したプレストンのtr5「The Lind Sonata」がベストトラック。同じくプレストン作のtr3「Inner Blues (Not A Blues)」はスローナンバーでこちらも良いです。プレストン作はもう一つ、ラストのtr9「The Prehistoric Eons」がありますが、これは現代音楽・実験音楽の領域の曲で、この手の曲はプレストンはけっこうたくさん発表している模様。
  • ザッパのtr1「Eric Dolphy Memorial Barbeque」はヘタしたらオリジナル・バージョン(ドン・プレストンも参加していましたが)より良いかも。まあ、オリジナルとは全然アレンジが違うので比較はできませんが、ザッパの作曲センスの深さと味わいがはっきり出ているのは間違いなくこちらのバージョンでしょう。
  • 10分に及ぶコール・ポーターのtr4「I Love You」はフリー・ジャズとして解体されていて、プレストンのピアノ・スタイルの本領が発揮されているのはこの曲かもしれません。
  • カーラ・ブレイtr2「Walking Batteriewoman」、tr7「The Donkey」、ジョン・カーターのtr6「Ode to the Flower Maiden」、tr8「Transformation」、いずれも素晴らしい演奏です。