Live concert at Paradise Rock Cafe, Boston, 9/16/2007, $25 ★★★★

Mandy Moore / (Live concert at Paradise Rock Cafe, Boston, 9/16/2007, $25)

::★★★★::2007::--::pop::rock::

■ 新しいマンディを感じさせる好ライブ

行く価値があるかどうか、ちょっと迷いましたが、行ってきました、マンディ・ムーア。前座がレイチェル・ヤマガタだというところにも惹かれたので。会場は、クアトロぐらいの規模のライブハウス。

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開演時間の8時になると、まずは前座第一弾、クリス・スティルズ。あとで調べたらなんとスティーヴン・スティルズの息子なんですね。もっと真面目に観れば良かった。前々座なので、奥の方の、ステージが見えないバー・スペースでビールとサンドイッチを食らっていたよ。ステージはギターの弾き語りで、歌もギターもうまかった。ジェフ・バックリーあたりに近い雰囲気あり。バックリーを骨太に、現代的にした感じか。最後の曲ではギターの激しくリズミカルなプレイで会場を盛り立てるなど、30分の弾き語りセットながら非凡さを十分に感じさせる演奏でした。

8時40分過ぎからはレイチェル・ヤマガタフィオナ・アップル型のブルージーなシンガーソングライターで、ここ数年はマンディ・ムーアと仲が良いらしい。セットはアコギのおじさんとピアノ(のちギター)のヤマガタのデュオの演奏。ヤマガタはアルバムではフィオナ・アップルっぽいと感じさせるところがあったけれども、こうしてライブで聴くと非常に骨太なボーカルで、コロナ飲みながらのステージなので声が少々荒れている気がしたけれども、とにかくヴォーカリストとして大変なポテンシャルを持っているという印象を受けました。途中、マンディ・ムーアがオレがいた階上から2メートルぐらいの距離のメザニンのVIP席に出てきて一緒に歌って声援を送っていたのが印象的でした。途中、マンディ・ムーアがファンに気付かれて、サインや写真をせがまれて一時身を隠したものの、また出てきて身をかがめながらヤマガタのステージを観て応援していましたね。友人として声援を送っていただけでなく、おそらく、ムーアはアーティストとしてのヤマガタを尊敬しているんだろうなあと勝手に想像しました。

10時前にはマンディ・ムーアのステージ。服装は客席をうろちょろしていたのと同じ、半袖、膝上ぐらいの丈の黒いワンピースに黒ストッキングに首飾りという実に地味な格好。髪も黒に近いダークブラウン。レイチェル・ヤマガタのボーカルの後だけに見劣りがしないかと余計な心配もしたのですが、結論から言えば、声も良く出ていて非常に良かった。声質も声量も標準的ですが、これが自分のやりたいことだという迷いのなさが歌唱に感じられて、ヤマガタとは違った、凛としたたたずまいのステージでした。

さらに、バンド(g x 2, b, dr, keyの5人編成)が非常にうまく、特にドラムとベースのリズムセクションがすばらしく、演奏をぐいぐい盛りたてていました。しかも、「マンディ・ムーアとバックバンド」という感じではなく、ムーアとバンドがしっかりと一体化しており、バンドとのコミュニケーションがしっかり取れているなと感心しました。まあとにかく、この日のライブの素晴らしさの半分はこのバンドの演奏力に寄るところが大きいでしょう。また、新譜のスタジオアルバムよりはるかに良いアレンジ、演奏だった。

演目は新譜の曲が中心、それにカバーアルバムの「Coverage」から数曲という感じで、「ティーンアイドル」時代の曲はまったくなし…と思いきや、ラストはなんとマンディ・ムーア15歳のときのデビュー曲「Candy」!!! この演出にはびっくり。しかも、シュガーポップだった原曲とはうってかわって、ミディアムテンポのヘヴィーなパワーバラードにアレンジされていて、マンディ・ムーアの「成長」と「自信」をはっきりと感じさせるすばらしい演奏でした。曲中、間奏の「アイドル風の語り」の部分になると「ここだけは勘弁して、ごめん、もう23だし!」と逃げていたのに笑った。

このライブを観てから新譜のスタジオ盤を聴くといかにも物足りない。でも逆にいえば、新譜を超える作品をつくるポテンシャルはまだあるということだと思います。アイドル路線を拒否し、シンガーソングライター路線に転換してレコード契約を取るのに苦労したり、前途は容易でないと思いますが、頑張ってほしいですね。とにかく良いライブでした。(9/20/2007)