Just A Girl ★★★★

Just A Girl

Bonnie Pink / Just A Girl

::★★★★::2001::Warner Music Japan::pop::rock::jp::
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■ さらに前進を試みるも、少々迷いも?

5枚目のアルバム。

日本録音ながら、アルバム全体のトーンは基本的に前作の延長線上です。冒頭の曲「Sweet」でドラムンベースのリズムを取り入れたり、全体にフォーキーさが後退し、ロックっぽさが前面に出ているなど、「Daisy」以来の「リハビリ」がさらに前進しているという印象。

とはいえ、やはり前作にあった不満、つまり全体のトーンが暗めで平坦だという欠点はこのアルバムにも見られる気がします。また、冒頭の3曲がもう一つぱっとしない点、tr7「再生」のアレンジがアルバムの中で少々浮いている、シングルにもなったtr12「眠れない夜」が暗くてオレ的に好みじゃないなど、文句もいろいろあります。全体の統一感も今一つで迷いがあったのかもしれません。

が! 前作と同じく、中盤から終盤にかけてぐんぐん良くなるアルバムなんですね。そして、ラストのタイトル曲「Just A Girl」。曲名とは裏腹に非常に力強い、漢らしいアコースティックバラードで、ラストを飾るにふさわしい歌唱を聴かせてくれます。この曲はある意味「Blue Jam」のころの姿勢に戻ったとさえ言える、ピュアな意味での「ブルーズ」です。この「Just A Girl」は計らずもこういった漢っぽい路線の最後の曲になります。その意味でも感慨深いです。(9/1/2007)


この曲を聴け!

  • シングルとなったtr4「Thinking Of You」は久々にソウル/R&B路線となりました。昔の声の太さはどこへやら、線の細い歌唱ですが、そこがもどかしくて逆にたまらないです。そらからこの曲のプロモビデオのボニー・ピンクはすげーかわいいです。ちょっとイモっぽくて。
  • サンデイズを彷彿とさせるアコースティックなtr6「コイン」も素晴らしい(ちなみにサンデイズはこういうバンドです→リンク)。特にサビでファルセットを効果的に用いるところが素晴らしいです。「Thinking Of You」でもファルセットの使い方が効果的だと思いますが、このアルバムはそのあたりの唱法の新境地がさりげなく聴ける作品ですね。
  • tr8「Take Me In」(シングルカット)以降、本文でも触れたラストの「Just A Girl」まで捨て曲なしでいずれも素晴らしいです。