The Rods ★★★★

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The Rods / The Rods

::★★★★::1981::Arista::pop::rock::
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■ 80年代B級メタル/ロックンロールの隠れた逸品

ロッズのメジャーデビュー作。半分以上はインディー時代に録音した楽曲だそうです。このアルバムはLPで持っているのですが、かなり好きです。ギターの音はメタリックですが、音楽的にはストレートなロックンロール。ちょっとグラムっぽいところもあるファインスタインのボーカルもパンチが効いていて良い。ニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィーメタルの視点から70年代グラム・ロックやキッスのロケンロールを再構築した感じ? ダーティー&ルースなロックではあるけれども、同時にどこか冷たくて、エッジが効いているのがニューヨーク的。ジャケのストリートっぽい雰囲気がアルバムの音を良く体現しています。

曲では、まずtr1「Power Lover」が出色。もろキッスという感じの曲ですが、印象的なギター、カール・カネディの独特なドラムの上に、リバーブが深めにかかったデイヴィッド・ファインスタインのボーカルが映え、かなり良い曲です。曲の長さが3分切るのも良い。続くtr2「Crank It Up」もパンキッシュでかなりいけてる。こういうパンキッシュとも言える持ち味があったのが初期ロッズの良いところですね。tr3〜5はブルージーで、これもコクがあって良いです。B面1曲目にあたるtr6「Nothing Going On In The City」はオランダのWhite Honeyというマイナーなバンドのカバーらしいですが、マイナーなバンドがマイナーなバンドをカバーするという構図がなんだかおかしい。そしてかなり良いです、この曲。アルバムでは唯一「ヘビーメタル」と言える曲ですが、「街では何も起こってやしねえ!」と連呼するファインスタインのボーカルはかなりパンク。いいねえ。

ロッズはアリスタから2作目を出してインディー落ちします。この2作目「Wild Dogs」は手元にはありませんが、けっこう良かったように記憶しています。「ユー・キープ・ミー・ハンギン・オン」をヴァニラ・ファッジばりにカバーしたのが、ロッズらしかった。音楽的にはグラムなんですよ、ロッズは。

ところが、ロッズも後期になるとメタルっぽいし、2003年に出たデイヴッド・ファインスタイン自身の新バンド「ファインスタイン」のアルバムも視聴してみると、悲しいほどにメタル。オレには無理。嗚呼、初期ロッズの、埃っぽいワイルドなハードロックはいずこに…。(6/20/2007)