Debut ★★★★

Debut

土岐麻子 / Debut

::★★★★::2005::LD&K::pop::rock::jp::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

iTunes Storeでヒットした実質的なデビューアルバム

iTunes Store JPでけっこう話題になっていたアルバムで、オレもそれで土岐麻子に初めて触れたくちです。 基本的に、「STANDARDS」シリーズで培ったジャズ的な持ち味をベースに、楽曲はジャズから離れて、荒井由美系というか、キリンジ系というか(1曲目の「ロマンティック」は堀込兄の提供)、ちょっと屈折した、それでいて都会的なポップスになっています。てゆうか、荒井由美との共通点が出ているのは興味深いですね。声のトーンやニュアンスがちょっとだけ似ているんですよ。「STANDARDS」シリーズではあまり感じられなかった、歌の表情の深みがアルバム全編に出ていて良いですね。前述した「ロマンティック」を初め、ジャジーな「Under Surveillance」、荒井由美的・キリンジ的というか、日本の70年代ポップスの泥臭さを良い意味で継承している「夕暮れよ」に「ブルー・バード」など、非常に良質な楽曲が揃っています。

逆に、ちょっと不満があるのがサウンド・プロダクション。「STANDARDS」ゆずりのジャズ系のプロダクションなのですが、楽曲が必ずしもジャズではないので、ベスト・フィットしているとは言えないと思います。やはりもうちょっとロック・ポップス寄りのダイナミックなサウンド・プロダクションにしてほしかった。

どちらにしても、正直、「STANDARDS」シリーズなんかよりもずっと内容が良いと思います。あまり安易にカバーに走らないで、ぜひオリジナルアルバムに力を入れて欲しいと願っています。(5/1/2007)