Jazz Impressions Of Black Orpheus ★★★★

Jazz Impressions of Black Orpheus

Vince Guaraldi Trio / Jazz Impressions Of Black Orpheus

::★★★★::1962::Fantasy::jazz::
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■ 明るく力強くラテンジャズなボサノバ・カバーアルバム

ボサノバという音楽の幕開けとなった1959年のブラジル映画「黒いオルフェ」のサントラにインスパイアされて制作されたアルバムで、ヴィンス・ガラルディの初期の代表作です。アナログでいうA面が「黒いオルフェ」からの楽曲(「オルフェのサンバ」「カーニバルの朝」「二人の朝」「フェリシダージ」)、アナログでいうB面がオリジナルとスタンダードという構成です。

1曲目の「オルフェのサンバ」の力強くファンキーなピアノがこのアルバムの色を決定付けています。とにかく楽しい。明るい。ボサノバといえば、サウダージ感覚というか、日本でいえばわびさび感覚が重要でありまして、これをジャズ系の人がやると往々にしてムードジャズのようになってしまうのですが(アントニオ・カルロス・ジョビンのジャズ系アルバムもそう)、ヴィンス・ガラルディがやるととにかく明るいんですね。屈託ない。その屈託のなさが、ムードジャズなボサジャズなんかよりはるかに好感もてるし、憎めないところです。

また、リリカルさに重点を置いた「The Peanuts」シリーズよりも、ここではもっと泥臭いというか、ラテンジャズっぽいというか。そのあたりがこのアルバムの良さですね。

ただ、個人的に後半はそれほど好きじゃないです。ヒットしたらしいオリジナル曲「Cast Your Fate To The Wind」は、ガラルディの代表曲の一つだそうですが、オレ的にはフツーのポップスにしか聞こえない…のはオレの修行が足りないからなのでしょうか。ポピュラースタンダードの「Moon River」は、この曲自体あまり好きじゃないし。

ボサで全曲押して欲しかったけど、まだまだボサ黎明期だったと言える1962年という時代を考えるとしょうがないか。(4/28/2007)