「激レア」に激レアなし

さて、前回の話の緩やかな続きですが。

オレは基本的に「希少盤にプレミア価格を注ぎ込むならそのお金を安い盤に注ぎ込むべし」という考えの持ち主です。音楽というのは(生演奏を除いて)複製文化ですから、版権さえあれば簡単に流通させることが可能です。よって、「良い音楽」は普通に流通するわけで、事実、カルト的人気のマイナー盤を含め、たいていの作品はCD再発されています。こんな中、希少盤というのはようするに、

  1. 契約など諸事情の巡り合わせがよっぽど悪くて再発されていない作品
  2. カルト的人気さえない駄盤
  3. 単にそれを欲する側がある特定のフォーマット(どうしてもアナログが欲しいとか、どうしても廃盤になった紙ジャケ版が欲しいとか)にこだわっている場合

のいずれかの場合に当てはまるのみであり、その「音楽的価値」が、普通に流通している良盤より高いなんてことはないのです。ですから、オレは馬鹿げたプレミア価格がついている盤を見ると、「阿呆か」とつい思ってしまいます。ヤフオクもよくチェックしますが、紙ジャケにけっこう良い値段がついていて、これまた阿呆かと思いますね。まあ、オレも若いころだったらそういうのに引かれたような気がしますが、年とるとどんどんガワに対する執着がなくなって…。中が聴けたらそれでいいやん、みたいな。

と、毒づいておきながらなんですが、オレも例外的に希少盤を探すことがあります。オレのウィッシュリストにも、残念ながら上記1.のケースに該当し、中古盤で定価の倍近い値段でなければ買えない盤があります。よよよ。(←泣いている)もっとも、1.に該当する盤でiTunes Storeでさりげなく売っていたりする盤もけっこうあるので、その意味ではiTS万々歳です。

あと、ヤフオクの法則として、「激レアと書かれているものに激レアなし」というのがありますね。レアかどうかというのは、ある程度物の価値が分かる目利きじゃないとわからないし、そういう目利きなら、「激レア」なんて書いてもらわなくても鋭くレア度を見極めるものです。実際、ほんとにレアなものは地味にひっそりと出品されます。オレもそういうのをこっそり見つけて「もしかしたら安値で落札できるかも?!」と色めき立ったりするのですが、それも最初だけで、すぐに、あれよあれよと値段が上がります。そういうものであります。

ということで今日も今日とて目的のレア盤を探しつつ、「激レア」と銘打って割高な値段をつけている出品物を見ては「この値段で売れるわけねーだろw」と嘲笑しているわけです。