Next Position Please ★★★★

Next Position Please

Cheap Trick / Next Position Please

::★★★★::1983::Epic::pop::rock::
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トッド・ラングレン色が強く出た佳作

5枚目「All Shook Up」、6枚目「One On One」とコケてしまったので、今度はがらりと趣向を変えようということで、ポップ魔人、トッド・ラングレンをプロデューサーに迎えて7作目にあたる本作が制作されました。

トッド・ラングレンはプロデュースするとき、自分のカラーを前面に押し出すため、しばしばバンドと音楽的な対立を引き起こすのですが、チープ・トリックとの相性は悪くなかったと思いますね。特に、「ソング・ライティング」という点で、チープ・トリックはかなり焦点を絞れたと思います。というわけで、このアルバムには前2作にあった「半煮えの捨て曲」がありません。どの曲も細部までよく練られた佳曲が続きます(小粒な曲が多いのが気になりますが)。その意味、チープ・トリックの「ポップ・ソング・メーカー」としての側面が良く現れたアルバムであると思います。また、現在までロビン・ザンダー単独のペンによる唯一の曲で、チープ・トリック低迷期の代表曲でもある佳曲「I Can't Take It」が納められています。

ただ、ラングレンのプロデュースにより、チープ・トリックのもう一つの持ち味である「ハード・ロッカー」の部分がほぼ完全に消失してしまっているのがこのアルバムの欠点ですね。だってギターが一切歪んでないんだもん。あちらを立てればこちらが立たずという感じでしょうか。でもまあ、そこに目をつぶれば悪いアルバムではありません。当時のトレンド(ニューウェーブ、AOR、そしてヘアー・メタルが全盛)には全然合ってないので当然売れませんでしたが。(3/15/2007)

[追記3/15/07]iTS USのはバンド自身による「Authorized Version」で、現時点ではダウンロード販売のみのバージョン。曲順が若干違うのと、ボーナストラックが多くなっています。