Silver ★★★★

シルヴァー
Silver [DVD] [Import]
チープ・トリック・シルバー・トゥエンティフィフス・アニバーサリー・ホームカミング・コンサート [DVD]

Cheap Trick / Silver

::★★★★::2001::Cheap Trick Unlimited::pop::rock::
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■ 25周年記念ライブ なんでもかんでも盛り込み過ぎなのはご愛嬌

前作が好評だったことに気をよくしてか、またライブアルバムが登場。1999年に地元イリノイのロックフォードで行われた25周年記念コンサートを収めた全29曲、CD2枚組のボリュームたっぷりのライブ盤です。はっきり言ってこのライブ盤はファンであればあるほど楽しめるという代物です。

この記念ライブでは、全アルバムから最低1曲を演奏することで25年を総括しようという趣旨があり、またゲストも多数で、常連?のスマッシング・パンプキンズビリー・コーガン(前作ライブ「Music For Hangovers」でもゲスト参加してました)の他、ガンズンローゼズのスラッシュ、エヴァークリアのアート・アレクシスという意外な顔ぶれがあります。80年代にトム・ピーターソンの後釜として4枚のアルバムに参加したジョン・ブラントがゲスト参加したのにもびっくり。そして、メンバーの息子・娘たちも多数登場、地元の高校の合唱団から、地元のストリングスから、ドラム隊まで…非常にアットホームな暖かいライブとなっており、ファンには嬉しくなってしまうようなライブです。

また、「全アルバムから最低1曲ずつ演奏」というしばりがあるので長年のファンには、今までライブ盤で聴けなかったような(実際ライブで演奏しなかったような曲も含む)マイナーな曲が多数聴けるのがうれしい。

個人的に良かった「ライブ盤初収録曲」は以下の通り。

  • 1-tr3「Oh, Candy」。デビューアルバム収録のデビューシングルなんですが、この曲は隠れた名曲なので、改めて聴けるのは嬉しいし、自殺してしまった友人に「どうして連絡くれなかったの?」と語りかける切ない歌詞も含め、やはり素晴らしい曲だと再認識。
  • 1-tr4「That 70's Song」。「That 70's Show」というSit Com(コメディー系テレビドラマ)のテーマ曲で、このドラマはオレがアメリカに住んでいたときも時々観ていたんですが、チープ・トリックの演奏だったとはつい最近まで気付きませんでした(原曲はBig Star「In The Street」)。こんなマイナー曲のライブ演奏が聴けるのは嬉しい。
  • 1-tr5「Voices」(「Dream Police」収録)。今までありそうでなかったライブ版。スタジオ版より良いぐらい。
  • 2-tr5「Woke Up With A Monster」(同名アルバム収録)も珍しい曲です。好きな曲なのでうれしい。このアルバムから他の曲もやって欲しかったな。
  • 異色な選曲では、ジョン・レノンのカバー2-tr8「I'm Loin' You」も良かった。チープ・トリックの曲として違和感がない。

他以下のようなマイナー曲がめじろおし!

  • 1-tr8「Can't Stop Fallin' Into Love」(「Busted」収録)
  • 1-tr11「It All Comes Back To You」(「The Doctor」収録)
  • 1-tr13「Tonight It's You」(「Standing On The Edge」収録)…アンプラグド・バージョンだけど、バンドバージョンで聴きたかったな。
  • 1-tr14「Time Will Let You Know」(ロビン・ザンダーのソロアルバムの曲)…娘とのデュエット。娘かわゆし
  • 1-tr15「World's Greatest Lover」(「All Shook Up」収録)…リック・ニールセンが照れながらリードボーカル。最後に照れながら一言「…やっぱリードボーカルはロビンにまかせるよ」。DVDではロビン・ザンダーが「良かったよ」という意味で親指を立ててみせるというほのぼのとした展開。
  • 2-tr1「The Flame」(不遇期のナンバーワンシングル。「Laps Of Luxury」収録)
  • 2-tr6「Never Had A Lot To Lose」(同アルバム)
  • 2-tr2「Stop This Game」、2-tr12「Just Got Back」、2-tr14「Who D' King」(以上「All Shook Up」)

こうしてみると「All Shook Up」の曲が多いな。個人的には「Next Position Please」「Standing On The Edge」「Woke Up With A Monster」の曲をもっと聴きたかったな。

というわけで、ファンには嬉しい「マニア的選曲」ではあるんですが、とはいえ、やはりこれらのマイナー曲は「At Budokan」の70年代の黄金のレパートリーに比べると弱いのは確かで、そのせいもあって中盤(Disc 1の後半からDisc 2の前半)はけっこうダレます。「アンプラグド」なセッションが今ひとつだし。

でもまあ、いいんですよ、25周年記念コンサートだから。こういう風に「過去」と向き合うのは、ファンにとっても楽しい。緩い雰囲気も暖かさがあって気持ちがいい。

演奏は、野外ステージのライブということで、小さなハコでの録音だった前作「Music For Hangovers」と比べ、少々大味ではありますが、このスタジアムっぽいリバーブの効いた音響もこれはこれで楽しめます。

ファン以外が聴いたらどういう評価になるのか分かりませんが、長年のファン、しかも「不遇時代」もフォローしていたファンなら感涙もののライブです。なお、DVDも出ていまして、オレはDVD版もゲットしましたが、楽しめましたよ。DVDもCDも同じ内容ですが、CDはCDで音に集中できるし、DVDは映像が楽しめるし、ファンなら両方もっててもオッケー。(3/15/2007)