Woke Up With A Monster ★★★

woke up

Cheap Trick / Woke Up With A Monster

::★★★::1994::Warner::pop::rock::
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■ ジャケは最悪だがシンプルなパワーポップという初心に帰ったまあまあの作品

4年ぶり、12枚目のアルバム。ワーナー・ブラザーズが助け舟を出し、同じワーナーのヴァン・ヘイレンなどの仕事で有名なテッド・テンプルマンをプロデューサーに迎えて制作されました。

ここでチープ・トリックはアイデンティティーを少し取り戻します。相変わらず約半数の曲で外部の人が作曲に介入していますが、サウンドだけをとれば、「シンプル、ポップ、ハード」なチープ・トリックが戻ってきています。もううっとおしいシンセもドタドタとやかましいメカニカルなビートもありません。スカッと抜けの良いディストーションギター、ピーターソンの厚みのあるベース、カルロスのタイトなリズム(バニー・カルロスの本来のタイトなドラムが聴けるのは本当に久しぶりです)、それをバックに気持ちよくロビン・ザンダーがシャウトします。

ということで、AMGでは、★★★半が付けられていて、「もう少しで★★★★」的な好意的な評がついています。ただ、オレ的には、そこまで良いアルバムでもないかなあと思います。サウンド、演奏は戻ってきたけど、曲自体のクォリティーが今いちなんですよねえ。冒頭tr1「My Gang」がもう一つ、続くヘヴィーなtr2「Woke Up With A Monster」、最高にポップなtr3「You're All I Wanna Do」、パワーバラードtr4「Never Run Out Of Love」、ミディアム・テンポのポップソングtr5「Didn't Know I Had It」あたりはかなり良い。でもそのあとがまた今いちで、正直飽きてしまいます。で、その今いちさをカバーするほどtr2〜5が大名曲だったらいいんだけど、そこまで良くもないからなあ。正直、AMGが酷評している「Standing On The Edge」の方が、曲という点ではずっとインパクトあったと思います。あと、チープ・トリック史上、ジャケがもっともひどい。低迷期に入っても、「Standing On The Edge」まではジャケはいつも素晴らしかったのに…。

まあ、全体的には久々に「チープ・トリックらしい」アルバムになりましたが、商業的にはコケたので、速攻ワーナーに切られ、チープ・トリックはついにインディー落ちします。いや、「落ち」というのは語弊があるな。より理想的な活動ができるように、独立レーベル設立に動くのです。(3/15/2007)