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Jeff Beck / Wired

::★★★★★::1976::Epic::pop::rock::jazz::
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■ 前作よりさらにフュージョン寄り オレ的ベックの最高傑作

前作「Blow By Blow」と双璧を成すジェフ・ベックのインスト・フュージョン・ロック・アルバム。前作がクラビネット・ファンクを軸に、ジャズロックといってもかなり泥臭かったのに対し、こちらはマハヴィシュヌ・オーケストラヤン・ハマーを軸に据えて、かなりジャズ寄りのジャズ・ロック。ロック・ジャズと言うべきか。

これがもうね、超強力。1曲目の「Led Boots」でいきなりレッドゾーン。ナラダ・マイケル・ウォルデンの火を吹くような、それでいて冷静なドラムからしてすごい。プロデューサーとしてのウォルデンは好きになれんけど、彼の若いころのドラムはカッコ良いの一言やねぇ。ジェフ・ベックのギターソロも強力。

てゆうか、ジェフ・ベックって本当にすごいな〜。ジャズの素養は全然ないと思われるのに、ジャズ/フュージョンなミュージシャンと楽曲に囲まれてなんでこんなに違和感なくハマるんだ? 実際に別に特別にジャズ的なフレーズをちりばめているわけじゃない。いつも通りのベック。それなのに、比べちゃ悪いけどコロシアムIIゲイリー・ムーアとは大違い(コロシアムIIも好きですが)で、「合ってないのに無理してる」というところが全然ない。適度に泥臭く、それでいて常人が及ぶことのできないエキセントリックさを持つという二面性が、うまくこのジャズロックの音に合うんでしょうね。このひとの演奏家としての「直感」の鋭さには恐れ入るばかりっす。ベックのギターを聴くと、マハヴィシュヌ・オーケストラジョン・マクラフリンの炎のギターが平凡に聴こえてしまうから恐れ入ります。(マクラフリンも大好きですけどね)

ベック以外のプレイヤーの演奏もカッコ良すぎ。スローナンバー二曲を除いてはファンキーでハードな曲ばかり。全曲イイ! 告白すれば、オレはヘビーメタラーだった高校時代にこのアルバムを聴いてよく理解できなかったという過去があるんだよね。はっはっは。過去は過去。今は今。ということで満点。 (3/6/07)