★★★

神 ― 帰ってきたフライング・アロウー

Michael Schenker Group / Michael Schenker Group

::★★★::1980:: Chrysalis::pop::rock::
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■ 最高傑作の呼び声も高いファースト

「神」というダサい邦題がつけられて発表されたMSGのデビュー作はファンの間でも人気が高く、これを最高傑作と考える人も多いかと思います。

ただ、オレはひねくれているので、今いちこのアルバムには乗れないんですよねえ…。

まず、かなり急いで作られたアルバムなので、バンドとしては練られていないのです。これについては異論がないと思います。メンバーで決まっていたのはボーカルのゲイリー・バーデンのみ。リズム・セクションはジェフ・ベック・グループからセッションミュージシャンのサイモン・フィリップス(ds)とモー・フォスター(b)を借りてきて、キーボードは、プロデューサーのロジャー・グローバー(元ディープ・パープル、当時レインボー)が連れてきたドン・エイリー(元コロシアムII、当時レインボー)。ということで、曲は出来ていたものの、メンバーが決まってなかったのでセッションミュージシャンで急いで作ったアルバムでありまして。個人的にサイモン・フィリップスのセッション・ドラマー然としたドラミングはけっこう好きなんですが、正直、プレイが冷静すぎるんで、ハードロックには合ってないですね。昔ジューダス・プリーストにも参加したり、本人はハードロック嫌いじゃないのかもしれないけど。

それから、このアルバムのヨーロピアン・ヘビーメタル・テイストが個人的にはあまり好きじゃないかも。まあ、MSGを語るのに「ヨーロピアン・テイストじゃいやだ」「ヘビーメタルっぽいと嫌だ」なんて言うオレがおかしいんですが、オレはハードロックはアメリカンテイストじゃないと受け付けない身体なので、その基準からすると、このアルバムはちょっとヘビーメタルすぎるかな。tr6「Into The Arena」やtr8「Lost Horizons」といった曲は人気の高い曲ですが、オレ的テイストにはちょっとドラマチックすぎて引いてしまします。

もう一つ、ロジャー・グローバーの音が今いちかなあ。この人がプロデュースすると音はきれいなんだけど、どうも全体的にこじんまりとした音になるんだよね。そのわりに、tr2「Cry For The Nations」に大砲の音入れたりしてさ、ダサいよ、ダサい!

まあ、でも「名作」と言われるだけあって、悪くはないです。オレはあまり好きじゃないけど。(1/27/07)