Never Say Die ★★★

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Black Sabbath / Never Say Die

::★★★::1978::Warner::pop::rock::
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■ オジー期最後のアルバム かなりポップ

オジー時代最後のアルバム。これも「サバスらしくない駄作」と言われているけれども、けっこう悪くないと思った。もう少しで★★★★付けたくなるほど。

このアルバムはとにかくポップ。爽快なほど。ポップな点では前作「Technical Ecstasy」と共通するんだけど、前作がけっこうバラエティーに富んでいるというか、変則的な曲が多かったのに対し、こちらのアルバムは全体にシンプルなハード・ロックに徹している。そのあたり、統一感があっていい。

また、前作は「これ」と言って目立つ曲がなかったけれども、本作ではオープニングであるタイトル曲「ネバー・セイ・ダイ」が非常に良い。これまでのサバスからすると「え?」というほどキャッチーでスピード感あふれる曲ですが、しかし、同時に、よりポップ指向となるオジーのソロ活動の前哨戦でもあるとも解釈でき、その意味で歴史的にも意味があると思います。そういえば、前作の日本語ライナーノーツで「よりヘヴィーな方向性を主張するオジーがトニー・アイオミと衝突するようになり」と書いてあったけど、どうなんだろ。このポップなサウンドは、のちのオジー・オズボーンの「クレイジー・トレイン」「バーク・アット・ザ・ムーン」を思い起こさせるんだけど。

ちょっと話がズレました。

このアルバム、他の曲も悪くはない。アルバム前半はポップなハードロックが続きます。かつての超重かったトニー・アイオミが明るいトーンのギターでザクザクとリフを切り刻むのはなんか不思議な感じだけど、いい音鳴らしています。tr3「Junior Eyes」のサビなんかも、オジー・オズボーンののちのソロ活動の芸風を先取りしていて、歴史的に考えて興味深い。

アルバム後半はドン・エイリー(コロシアムII→レインボー)の三柴江戸蔵みたいなピアノをフィーチャーしたtr6「Air Dance」やtr7「Over To You」から、なんとサックスがフィーチャーされるインストのtr8「Breakout」*1、そしてなぜかビル・ウォードがリードボーカルをとっているラストtr9「Swinging The Chain」*2など、おかしな展開になっていきます。

おかしな展開だけど、そんな悪くもない。とはいえ、タイトル曲「Never Say Die」以外に印象に残る曲があるかと言われれば、ないと答えざるをえない、そんなアルバム。(1/23/07)

*1:オジーは前作製作の後サバスをいったん脱退しており、かわりにフリートウッド・マックなどにいたデイヴ・ウォーカーが一時的にサバスに加入。その後すぐオジーがまた戻ってくるわけですが、このあたりの曲はクレジットこそないものの、ウォーカーが関わった曲ではないかと言われているそうです。ソース:[http://en.wikipedia.org/wiki/Never_Say_Die%21:title=英語版wikipedia]

*2:これは、「幻の二代目ボーカリスト」デイヴ・ウォーカーが作曲に関わった曲だからオジー・オズボーンが歌うのを拒否したとか。ソース:[http://en.wikipedia.org/wiki/Never_Say_Die%21:title=英語版wikipedia]