Sabotage ★★★★

Sabotage

Black Sabbath / Sabotage

::★★★★::1975::Warner::pop::rock::
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■ 一部迷いも感じさせるがまだまだいけるぜ!

これがサバスの「最後のグレートアルバム」ですね。次作「Technical Ecstasy」(1976)と次々作「Never Say Die」(1978)はともに未聴なんですが、あまり評価が高くない作品で、以後、オジー・オズボーン(vo)が脱退してしまいます。

で、この「ラスト・グレート・アルバム」である本作「サボタージュ」にも、後の「迷走」のかけらが散見されます。例えば荘厳なコーラスで構成されたtr6「Supertzar」とか、ポップに売れ線をねらって失敗したダサいtr7「Am I Going Insane (Radio)」とか。ダメダメです。

しかし! それでもこのアルバムはその欠点を補うパワーにあふれた名作です。全盛期のサバスの他の作品と同じく、ま、いつもの「サバス節」で音楽的に新しいところなどないのですが、冒頭の「Hole In The Sky」が鳴りだすといつも以上のパワーに圧倒されるほど。非常に良いです。

そしてクラッシックギターのインターミッション的2曲目を経て、tr3「Symptom Of The Universe」へ。これがまた素晴しい曲でありまして、重さよりスピード感で押す超名曲。サバスの最高傑作のひとつなんじゃないかとさえ思います。でもサバスの曲としては比較的マイナーなんですよね。やっぱサバスといえばミディアムテンポのイメージが強いからか。この曲はアップテンポで押します。オレはサバスは必ずしも「ヘビーメタルバンド」とは思ってないんですけど、この曲はヘビーメタルにかなり近いサウンドというか、スラッシュメタルっぽくもあります。演奏も素晴らしい。特にビル・ウォードのドラム。オズボーンのいつもながらの工夫のないメロディも冴えまくってます。このひとのメロディというのはその工夫のなさゆえにかえって不気味なんですよね。

というように欠点はあるものの、全体的にはパワーみなぎる演奏が聴ける傑作。それにしてもこのジャケはなんだ。もっこり。 (1/16/07)